プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が、同暫定王者ノニト・ドネア(43=フィリピン)との団…

プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が、同暫定王者ノニト・ドネア(43=フィリピン)との団体内統一戦で2-1の判定勝利を収めて2度目の防衛に成功した。

2月の初防衛後、両目を手術して休養王者となっていたが、元5階級制覇王者のレジェンドを撃破したことで、群雄割拠の世界バンタム級戦線の主役に名乗りを上げた。

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堤はダウンも覚悟の上で打ち合った。観客7500人の「聖也コール」の大合唱を浴びた最終12回。体力は限界に達していた。

真っ赤に腫れた鼻に「折れているなと思いながら戦った。嫌だなって思ったけど、そういう感情を無視した」。ドネアの“宝刀”左フックをまともに食らえば倒される。それでも、殿堂入りが確実視される名王者に不断の連打で活路を切り開くスタイルを貫いた。終了間際には右を2発ヒットさせ、フルラウンドの激闘で力を出し切った。

43歳になったドネアに“フラッシュ”と形容された往年のスピードは、12ラウンドを通してはない。ただ序盤は危険なほど鋭かった。4回終盤、相手の右フックからのアッパーを被弾。堤は腰が砕けてバランスを崩したが、ゴングに救われた。「本当に負けの流れが出来上がって。僕は負けの流れの試合は何度も経験しているから『頑張れ、頑張れ、俺』ってずっと言い聞かせながら頑張った」と自ら奮い立った。

鼻が折れても、心は折れずに勇敢に立ち向かった。中盤から「負けの流れ」を自ら打開した。驚異的な粘り腰を引き出させたレジェンドに「かなり苦戦した。ベテランのうまさ、経験の差は絶対にどっかで感じると思っていた。すごくいい経験になった」と相手の強さをすがすがしいほどに認めた。

2月の初防衛後、両目を手術して休養王者となった。正規王者に昇格したバルガス(米国)の辞退により、復帰戦の相手の代役は「学生時代からみんな知っている選手」。動揺もしたが、全盛期のドネアと戦うつもりで猛練習を積んだ。

昨年10月に井上拓から世界王座を奪取したが、今年11月に井上拓が“無敗の神童”那須川を破ってWBC王座に就いて評価が急浮上。日本人初の5階級制覇を目指して階級を上げた井岡は大みそかにWBA同級挑戦者決定戦に臨む。

井上尚弥に次ぐ日本人2人目のドネア撃破でビッグマッチへ道も開けたが、堤はこう言う。「ボクシング界はすごいスターぞろいだと思うけど、そういう選手に比べて僕は目立った強さがない」。1発で倒すパンチ力、テクニックやディフェンスも飛び抜けたものはないと自覚する。

ただ、最大の難関を突破した者だからこそ、言えるものもあった。

「僕は積み重ねてきたもので世界で戦っている。自分を信じて、自分の心の中に持つピストルを信じて、もっともっと強い存在、強いボクサーでありたい」。王座に君臨し続けるため、さらなる強さを求める。【泉光太郎】