<プロボクシング:WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇17日◇東京・両国国技館WBO世界フライ級4位の桑原拓(3…
<プロボクシング:WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇17日◇東京・両国国技館
WBO世界フライ級4位の桑原拓(30=大橋)が2度目の世界挑戦で、またも王座を逃した。同級王者アンソニー・オラスクアガ(26=米国/帝拳)に挑み、4回2分37秒、パンチ連打でTKO負けした。24年5月、東京ドームで当時のWBA同級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に判定負けして以来、約1年7カ月ぶりの世界再挑戦だったがベルトは遠かった。王者はこれで4度目の防衛となった。
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試合直後に会見場に現れた桑原が「1ラウンドに、たぶん眼窩(がんか)底をやってしまって。そこからずっと相手が二重に見えて。それでパニックになったというのはありました」と明かした。初回からパワーが自慢のオラスクアガに圧力をかけられ、左フック、右ストレートと良いパンチを被弾。さらに終盤に鋭いジャブで右目の眼窩底を骨折させられた可能性があり、いきなり主導権を握られてしまった。
2回以降も王者の前進&強烈なパンチを止めることはできず。4回には左アッパーの連打、さらに右アッパーをたたき込まれ、最後はコーナーに詰められて左右連打で仕留められた。桑原は「攻撃力と勢いがすごかったですし、パンチ力もパンチの硬さも、今までやってきた対戦相手の中では群を抜いてあったので。それを前半に(パンチを)食いすぎてダメージがたまっていったというのが敗因ですね」と肩を落とした。
「黄金世代」と言われる95年度生まれの1人。田中恒成、山中竜也、比嘉大吾、井上拓真、ユーリ阿久井政悟、岩田翔吉、堤聖也に続き8人目となる「95年組」の世界王者になることが悲願だった。しかし夢はかなわず、試合後には「今は何も考えられないです。(全力を)出し切れてはないですけど、自分はここまでの男なのかなという気持ちも少しありますし。それ(今後)はこれから考えていきます」と話すにとどめた。
今回の世界戦は当初の挑戦者だった飯村樹輝弥(角海老宝石)の負傷辞退で約1カ月半前に決まったが「コンディションはすごく良いですし、メンタル的にもモチベーション的にも高い状態」と話していた。前回のユーリ阿久井戦は最終調整中にスパーリングであばら骨を痛め、満足なコンディションで立てなかったこともあり「モチベーションはマックス」と心身ともに最高の仕上がりでリングに立っていた。それでも勝利の女神は残酷だった。
◆桑原拓(くわはら・たく)1995年(平7)4月4日、大阪市生まれ。K-1王者魔裟斗にあこがれ、5歳から空手を始め、父誠司さんに勧められ、小学5年から大鵬ジムでボクシングを開始。興国高で高校2冠した後、東京農大に進学するなどアマ戦績50勝18敗。アマエリートの道を進み、18年2月に大橋ジムに入門。同年5月に1回TKOでプロデビュー。22年10月、東洋太平洋フライ級王座を獲得し1度防衛。家族は両親と兄、弟。身長164センチの右ボクサーファイター。