日本サッカー協会(JFA)審判委員会は17日、都内のJFAハウスでメディア向けのレフェリーブリーフィングを開催し、202…
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は17日、都内のJFAハウスでメディア向けのレフェリーブリーフィングを開催し、2025年のJ1におけるレフェリングについて総括した。
VARが導入されているJ1において、25年はオンフィールド・ディシジョン(OFD=現場での判定)は精度65%(24年は59・6%)、ファイナル・ディシジョン(FD=VARを含めた最終判定)は同95%(24年は91・2%)という目標を設定。前年より約5%の上積みを目指していた。
なお、この数値は得点、PK、一発退場、警告2回による退場などの結果を左右する重要なプレーに絞った「キーインシデント(Key Incident=KI)」が対象。さらに判定が簡単なものは除外し、難易度の高い事例に絞られている。それゆえオンフィールド・ディシジョンは精度60%前後という状況だ。高いハードルを課した上で、専門のビデオアセッサーが試合映像から抽出し、レフェリングを厳しく評価している。
25年の結果はOFDが64・85%とほぼ目標値に到達し、一方でFDは89・57%とクリアはならなかった。現場の判定精度を最も重要視する中、思惑通りのデータが浮き上がった。
今季はよりタフさをJリーグに求めた流れで、コンタクトプレーでのファウル基準が上がった。特に前半戦ではその基準が明確でなかったこともあり、判定にばらつきがあった。
佐藤隆治JFA審判マネジャーは「コンタクトプレーをどこまで許容するかの線引きが曖昧だった。特に前半戦はコンタクトプレーの判断が甘かった」と話した。その上で「反則とするべき事象で笛が鳴らない場面があったが、後半戦は改善傾向にあった」と説明。ファウルを流すのでなく、従来通りに反則には笛を吹き、反則でないものに笛を鳴らさないという認識を強調した。
扇谷健司審判委員長は「シーズン当初と違って、後半戦は判定の安定感が増した。選手たちの理解もあったと思う。さらに真摯(しんし)に、リーグとも議論を重ねて良くしていきたい」と誓った。そして「甘い方向になってはいけないけど、審判員のみなさんは非常によく頑張ってくれたと思う」とねぎらいの言葉を送った。
Jリーグは今季の観客動員は前年比108%となった。リーグの魅力が高まっている証拠だが、それはチームや選手たちの頑張りだけでなく、黒子として奮闘しているレフェリーの日々の努力も見逃してはならない。【佐藤隆志】