【長岡一也=コラム「競馬白書」】◆課題は多数だが名手の腕に期待大の馬も 阪神ジュベナイルフィリーズに重賞勝ち馬がいない…

【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆課題は多数だが名手の腕に期待大の馬も

 阪神ジュベナイルフィリーズに重賞勝ち馬がいないのはめずらしい。

 牝馬限定戦となった1991年以降、2度しかない。93年と97年の2回だが、その最初の年は京成杯3歳S2着から臨んだヒシアマゾン(それまで3戦1勝2着2回)が優勝し、次はファンタジーS7着から参戦したアインブライド(それまで4戦2勝3着と7着が1回ずつ)が勝っていた。

 JRA2歳重賞は、今年の7月の函館2歳Sから11月の京都2歳Sまで11戦行われ、牝馬はアルテミスSのフィロステファニ、ファンタジーSのフェスティバルヒルの2頭が勝っていたが、前者は右前肢の屈腱炎で引退、後者は左第一指骨の骨折で休養に入ってしまった。こうなると、2戦2勝の無敗でチャンピオンをめざすものの存在が気になってくる。可能性がどこまであるか、考えてみたい。

 まずは、アランカール。今年のダービージョッキーの北村友騎手が手綱を取る。

 福島の1800米の新馬戦を4馬身差で完勝し、2戦目が今回と同じ舞台。阪神1600米の野路菊Sだった。

 スタートはあまりよくなかったが、リズムよく走り、直線一気に最後方から上がり3ハロン33秒3で伸び、3馬身半もの差をつけていた。

 父が目下2歳馬リーディングのエピファネイア、母がオークス馬で桜花賞2着のシンハライトとすじが通っている。レースセンスがあって、チャンピオンにふさわしいと思う。

 もう一頭の無敗馬は、やはり2戦2勝のマーゴットラヴミー。

 京都の新馬戦1400米で2歳コースレコードをマークして勝ち、2戦目がやはり京都の1600米の白菊賞で、スタートからスピードの違いをみせ、3馬身差をつけ逃げ切っていた。2戦とも上がり3ハロンは最速をマークしており、単なる逃げ馬ではない。

 父リアルスティールはディープインパクトの産駒で、キズナ、コントレイルとともに多くの産駒を出しており、後継馬争いの真っ只中にある。中一週のローテーションがどうとか、阪神コースはとか課題はあるが、武豊騎手の腕に期待するところ大だ。

 逆転候補はいくらもいるが、一戦ごとに進境が見られるアルバンヌはどうだろう。

 阪神のマイルの新馬戦ではフェスティバルヒルに半馬身差で敗れていたが、未勝利戦、サフラン賞と連勝している。特に中山のマイル戦サフラン賞では、好位から伸びる安定したレース運びを発揮、33秒7の切れを見せていた。はっきり力をつけていると言いたい。コース経験があるのも強味になっている。

 他では、重賞で好走が続いたタイセイボーグを。ここまで4戦しているが、新潟2歳S2着、アルテミスS3着と安定した成績を残してきた。渋太く伸びてくるタイプだ。外枠も問題ない。

 そしてもう一頭、好枠のミツカネベネラを。アルテミスS2着は、直線立て直す不利を克服してのものだった。好枠で落ち着いて運べれば入着も考えられる。

「来春に 夢が大きく 花開く」