今年のドラフトで西武から2位指名を受けた中央大・岩城 颯空投手(富山商)。最終学年で一気に能力を伸ばして、プロ入りに成功…

今年のドラフトで西武から2位指名を受けた中央大・岩城 颯空投手(富山商)。最終学年で一気に能力を伸ばして、プロ入りに成功した投手だ。

 181センチ95キロのガッシリとした体型から常時140キロ台後半・最速152キロの速球と135キロ前後のスライダーのコンビネーションで勝負する。春は16.1回を投げ、21奪三振、防御率1.10、秋は29.2回を投げ、31奪三振、防御率2.43だった。特に春は四死球がわずか4。三振が奪えて、四球が少ない実戦的な左腕である。

 そんな岩城のパフォーマンスを振り返りつつ、プロ1年目を予想していきたい。

 今年6月の大学日本代表の選考合宿に参加した時の岩城は、140キロ台後半のストレートがありながらフォアボールも出さない「完成度の高い左腕」という印象を受けた。

プロで活躍する左腕を見ると、よほどのスケール型ではない限り、パワーピッチは求められない。高確率でストライクが取れる変化球が2球種以上あり、走者がいても自分のピッチングを崩さない投手が多い。

 岩城はこうした項目をすべて満たしている投手だ。投球フォームを見ると、軸足にしっかりと体重が乗って、内旋で左腕を振ることができているため、コントロールも安定する。右打者だけではなく、左打者にも威力のある140キロ台後半の速球を外角へコントロールできている。内角への頻度が少ないのが気になるが、ストレート、スライダーの出し入れが非常に上手い。

 縦の変化球、緩いカーブなど緩急を使った投球スタイルではないので、プロの世界で先発を目指すのならば、フォーク系変化球のマスター、直球と球速差をつけた変化球の習得が求められるだろう。

 近年の西武は、隅田知一郎投手、佐藤隼輔投手、武内夏暉投手と大卒左腕の戦力化に成功している。岩城はこの3投手の大学時代と比較しても、直球の威力、コントロールの良さは負けていないものがあり、体格はもっともガッシリしていて馬力もある。

 すぐに一軍争いに加わることができるのではないか。

 先発を目指す場合、球種を増やすなど、二軍でローテーション入りして引き出しを増やしながら、2年目以降、一軍で飛躍を目指す道筋となりそう。一方で、中継ぎならば、即戦力として期待でき、いきなり20試合〜30試合ぐらい投げていてもおかしくないぐらいの安定感はある。

 岩城が中継ぎ起用されて、1年目からハマれば、西武の中継ぎ陣は盤石のものとなりそうだ。