引退競走馬に会える施設であり、乗馬も楽しめる岡山県の蒜山ホースパーク。アロンダイトやカレンミロティックなど、JRA所…

 引退競走馬に会える施設であり、乗馬も楽しめる岡山県の蒜山ホースパーク。アロンダイトやカレンミロティックなど、JRA所属の活躍馬を数多く繋養し、“西の軽井沢”とも呼ばれる自然豊かなエリアに位置する観光スポットを、netkeiba編集部員が体験。馬とふれあい、風景を眺めながら過ごす一日は、心安らぐ癒しの時間だった。

 まず目に飛び込んできたのは、広がる草原と背後にそびえる山々。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みながら、ゆったりとした時間が流れ始めるのを感じた。最初に向かったのは放牧地。そこにはジャガーメイル、ブライトエンブレム、ティーハーフ、キメラヴェリテの4頭がいた。それぞれ天皇賞(春)、札幌2歳S、函館スプリントS、北海道2歳優駿を制した実績馬たちだ。これだけの活躍馬が揃って草を食べる姿に驚くとともに、“群れる”習性からか、寄り添うように行動している様子が愛らしかった。

 案内してくれた代表の原田喜市さんが放牧地に入ると、一目散に2頭が奥へ走っていく。理由を尋ねると、「恐らく放牧が終わりだと思って、捕まりたくないから逃げていくんです」と笑顔で教えてくれた。馬たちが自由気ままに過ごす放牧地の広さは約一町(およそ1ヘクタール)。広々とした空間で、観光客はもちろん、繋養馬たちものんびりリラックスして過ごせる環境であることが伝わってきた。

 続いて馬との触れ合いコーナーを通ると、5頭の馬たちがこちらを見つめる。どれも穏やかな表情で、にんじんを差し出すとおいしそうに食べてくれる様子に思わず顔がほころんだ。毛色や大きさ、馬の種類は全く違えど、柔らかく大人しい雰囲気が印象的だった。歩き回った後にはパーク内のレストランで、名物のジャージー牛を使ったチーズハンバーグをいただいた。お肉の旨みはもちろん、チーズのコクが深みをもたらす。デザートのジャージー牛乳ヨーグルトもミルキーで、雄大な山の景色を眺めながら味わうと、旅の疲れがすっかり消えていった。

 散策を通じて、印象的だったのはパークの美しさ。えんじ色の屋根に白い壁、厩舎内はブラウンのあたたかみあるデザインに統一されており、馬も人も過ごしやすく整備されていた。平日でも駐車場には車が多く並んでおり、家族連れ、カップル、シニア層まで幅広い世代が訪れていた。蒜山ホースパーク内には、犬が遊べるドッグランと、牛を繋養する蒜山ジャージーランドも併設されていた。馬はもちろん、動物好きも楽しめる空間で、心をゆるめたい人に訪れてほしい癒しの場所だった。