JFLアトレチコ鈴鹿の元日本代表FW三浦知良(カズ、58)の獲得へ、同じ元日本代表FWの播戸竜二氏(46)が近く社長に就…

JFLアトレチコ鈴鹿の元日本代表FW三浦知良(カズ、58)の獲得へ、同じ元日本代表FWの播戸竜二氏(46)が近く社長に就任する、関西1部リーグの新クラブ「IKOMA FC奈良」が正式オファーしたことが7日、分かった。来季プロ41年目を迎えるレジェンドが、Jリーグ5部相当の地域リーグに移籍すれば初めて。J昇格を目指し、奈良の新クラブが本気の交渉に乗り出した。

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播戸氏が近く社長に就任するIKOMA FC奈良が、カズ獲得へ本格的な交渉をスタートさせた。関係者によると、同氏自身がカズとの直接交渉に臨み、新クラブが誕生する経緯を含め、既に獲得のラブコールを送ったという。

カズが現在拠点を置く三重・鈴鹿市から、西へ約120キロ。自動車で約2時間の奈良・生駒市に、播戸氏が社長に就く新クラブは誕生する。既存の関西1部ヴェラーゴ生駒の経営を引き継ぎ、新たにJリーグ昇格を目指すアマチュアチームが第1歩を踏み出す。

カズと愛称バンこと播戸氏。12歳差の2人は神戸で02年から約3年半、先輩と後輩の関係だった。究極のプロ意識を持つカズは、主将としてチームを引っ張った。当時まだ20代だった播戸氏は、スーパースターの言動から学び、06年に日本代表入りするまでに成長した。新クラブの選手にも、同様の体験で成長を促したい狙いがある。

もちろん、今回は戦力として計算に入れた上でのオファーだ。今季JFLでは出場7試合、うち先発は1試合だけ。けがの影響が大きく、ノーゴールに終わった。今後も体力勝負こそ厳しいが、J1通算139得点をマークした技術と経験でゴール、アシストを期待している。

鈴鹿がカズの加入で沸いたように、人口約11万人の生駒市、及び奈良県に活気や話題を生みたい。芸術・文化を含めた総合型地域スポーツクラブを目指す新クラブにとって、レジェンドの存在は唯一無二だ。

来年2月に59歳を迎えるカズが地域リーグを選択すれば、86年ブラジルの名門サントスから数え、のべ19クラブ目で初めて。

横浜FCから期限付き移籍するカズの現所属・鈴鹿も来季、地域(東海)リーグに降格するが、契約延長を打診する可能性が高い。偶然にもJリーグ5部相当から人気が集まるが、カズはかねて「カテゴリーは関係ない」と発言。播戸氏の新クラブは、その可能性に懸けて交渉を続ける。

◆地域リーグ J1、J2、J3、JFLと数え、実質Jリーグ5部に相当する全国9地域のリーグのこと。関西は1、2部各8チームで編成され、来季は4月開幕予定。管轄する関西社会人連盟によると、1部の来季編成はJFLから降格する飛鳥FCを最上位に、今季優勝のアルテリーヴォ和歌山、元代表FW岡崎慎司氏が理事を務めるバサラ兵庫、チェントクオーレ・ハリマ、ラランジャ京都、守山侍2000、ヴェラーゴ生駒(=IKOMA FC奈良へ経営譲渡)、2部優勝で昇格のおこしやす京都。27年から秋春制移行を目指している。

◆地域からJFLに昇格するには 各地域リーグで優勝するか、全国社会人選手権で上位3チーム(JFL入会希望が条件)に入り、11月開催の全国地域チャンピオンズリーグ(CL)へ。優勝すればJFL最下位と自動入れ替え、準優勝はJFL15位との入れ替え戦へ。JFLからJ3昇格は、J3クラブライセンスなどを交付された上で、ホーム平均観客数2000人や競技順位の条件をクリアすれば、自動昇格か入れ替え戦へ。今季はJ加盟の意思がないホンダが優勝したため、2位レイラック滋賀がJ3最下位沼津との入れ替え戦に回った。