数々のビッグレースを制してきたM.デムーロ騎手だが、長らくJRAのダートの重賞には縁がなかった。初制覇は意外に遅くて…

 数々のビッグレースを制してきたM.デムーロ騎手だが、長らくJRAのダートの重賞には縁がなかった。初制覇は意外に遅くて、ちょうど10年前となる15年のチャンピオンズCのサンビスタ。99年の日本での初騎乗から実に16年目での戴冠となった一戦を振り返る。

 この年のチャンピオンズCは3強ムードだった。フェブラリーSとJBCクラシックを連勝中のコパノリッキー、このレースの連覇を狙うホッコータルマエ、重賞3勝を含めて4連勝中だった3歳のノンコノユメ。この3頭が単勝3倍台で並び、4番人気以下は10倍以上だった。

 しかし、レースは意外な結末を迎える。逃げたコパノリッキーと武豊騎手に対し、ホッコータルマエと幸英明騎手が早めの仕掛けでつぶしにいく。4角では一騎打ちになるかと思われたが、直線半ばで2頭の脚色が鈍る。かわって先頭に躍り出たのがM.デムーロ騎手とサンビスタだった。後続を突き放し、残り100mでは勝負あった。単勝66.4倍の12番人気とは思えない堂々としたレースぶりで、2着のノンコノユメに1馬身半差の完勝を収めた。

 牡馬が優勢とされるダート界において、この勝利は未だにレース史上唯一の牝馬による戴冠となっている。また、M.デムーロ騎手は実に26回目の挑戦で、JRAダート重賞初制覇を果たしたのだった。