青山学院大の神宮大会2連覇に貢献したエース・中西 聖輝投手(智弁和歌山)。決勝戦では17奪三振の完封劇と、歴史に残る快投…

青山学院大の神宮大会2連覇に貢献したエース・中西 聖輝投手(智弁和歌山)。決勝戦では17奪三振の完封劇と、歴史に残る快投を披露した。ドラフトで中日から1位指名され、即戦力として期待される中西だが、技術的な面で不安要素はほぼない。多くの人が懸念するのは最終学年での“投げ過ぎ”であろう。中西はこの1年の公式戦でじつに142.2回を投げている。これはプロのローテーション投手並の数字だ。直近だと秋のリーグ戦では34.1回、462球。明治神宮大会では2試合完投。16日(日)の佛教大戦では123球、中2日置いて19日(水)の立命館大戦では、127球を投じている。

 ここまで投げてもハイクオリティな投球ができる中西の自己管理能力は高く評価されるべきだが、怪我なく、プロ野球シーズンに入ることができるのか。これまで、身体のメンテナンスがうまくできずにキャンプインしてしまい、怪我をする投手が多くいた。この不安要素を乗り越えれば、中西は先発ローテーション投手として活躍できるスキルを秘めている。

 ストレートは常時145キロ〜150キロ。内外角だけではなく、高め、低めを丹念についている。コントロールピッチャーでありながら、強いボールを投げることができており、打者を詰まらせることができている。投球フォームを見るとコンパクトなテークバックで右腕の軌道が外回りすることなく、リリースができている。コントロールの良い投手の投げ方である。

 中西より球速が優れる大学生投手はいるが、1年通してここまで投球が安定していた者はいない。公式戦の防御率は1.33。投球回を大きく上回る182奪三振を記録しているように、テクニックが優れている。

 変化球は130キロ台前半のフォークが軸。打者の手元で鋭く落ちるもので、落差が大きいわけではないが、直球と同じ軌道でいきなり落ちるので高確率で空振りを奪うことができている。さらにスライダー、カーブなど各種の変化球の精度が高く、ストライクを取れる制球力の高さがある。

 中日入りしたコントロール型の大学生投手といえば、現エースの柳裕也(横浜-明治大)を彷彿とさせる。

 柳の最終年と中西の最終年はよく似ている。中西はこの1年、142.2回を投げたが、柳も春秋のリーグ戦だけで、121.1回。大学選手権と神宮大会では、19.2回を投げ、合計141回を投げている。さらに柳は大学日本代表にも選ばれ1年通して投げていたので、その酷使度は中西以上だった。

 そんな柳が先発ローテーション入りしたのは大卒3年目から。1年目、2年目は2年連続で50回程度だった。

 中西は今の状態をしっかりと維持できて、プロ1年目から稼働できれば、50回以上は計算が立つのではないか。さらにスケールアップすれば、2年目には100回以上、10勝前後は期待できる投手である。中日は次世代の先発投手の育成が急務である。中西はその候補に入るだろう。

 高校時代は夏の甲子園優勝投手、大学時代は明治神宮大会で優勝投手と様々な栄冠を手にしたが、ぜひプロでもエース格として活躍することを期待したい。