(14日、明治神宮野球大会高校の部1回戦 英明5―2帝京長岡) 帝京長岡(新潟)の芝草宇宙(ひろし)監督にとって、神宮球…
(14日、明治神宮野球大会高校の部1回戦 英明5―2帝京長岡)
帝京長岡(新潟)の芝草宇宙(ひろし)監督にとって、神宮球場は親しみのある場所だ。
「まさか監督で来られるなんて。選手とわくわくしながらグラウンドに入った」
帝京(東京)のエース右腕だった。1987年夏の第69回全国高校野球選手権ではノーヒットノーラン(無安打無得点試合)を含む3試合連続完封で、4強入りの原動力になった。プロ野球日本ハムでも長く活躍し、コーチも務めた。
この日は、母校が次の試合を戦うことになっていた。「同じ三塁側ベンチですし、(自分たちが)勝って続いてもらいたかったんですが……」
力を入れてきた守備が乱れた。
エース左腕の工藤壱朗(1年)は7回あまりを投げて7四球。失策が絡んで先制を許し、八回は四球が大量失点につながった。
「打って10点取るのはすごく難しいが、守れないと簡単に10点取られる」。2020年に就任した当初から、水ものの打線に頼らないチーム作りをしてきただけに「自分たちらしいゲームができなかった」。
帝京長岡(新潟)はこれが初の全国大会だった。今秋の北信越大会決勝で初優勝し、同校初の甲子園出場をほぼ確実にしている。
「全国でどう勝つのか教えてもらった。この負けを生かして『これでいける』というものを作りたい」
時を経て、立場を変え、思い出の地で再び糧を得た。(平田瑛美)