11月12日、マツダスタジアムで開催されたプロ野球選手会主催の「エイブル・トライアウト2025」には4,863人が来場。…
11月12日、マツダスタジアムで開催されたプロ野球選手会主催の「エイブル・トライアウト2025」には4,863人が来場。NPBだけでなく、独立リーグ、韓国、台湾プロ野球などから114人ものスカウトが集まった。
昨年トライアウトからNPBの育成契約を獲得したのは3人。いずれも投手だった。二軍球団に進んだのも5人の投手。投手に人気が集まることがわかる。
そこで今年トライアウトに参加した28投手の中からアピールに成功した右投手10人、左投手5人を編集部でピックアップ。その上で順位付けを行った。セカンドキャリアがつながりそうな投手は誰か?
*参加記者:河嶋宗一(『高校野球ドットコム』編集部主筆)、塩澤風太
150キロオーバーの3投手は大きなインパクト
河嶋:まず大きなインパクトを与えたのが2番目の登場となった楽天・宮森 智志投手(呉商)です。最速151キロを計測したストレートはもちろんですが、150キロ以上を出した3投手の中で最も安定感が感じられました。今季二軍で防御率5点台でしたが、この日は良かった。
塩澤:威力のある150キロストレートをゾーンに投げていたので、即戦力として期待できると思いました。
河嶋:即戦力を期待する上では、西武の田村 伊知郎投手(報徳学園)が一番良かったです。常時145キロ前後出ていて、130キロ台中盤のスライダー、フォークも悪くないし、今年、一軍20試合登板も経験していて安定感があった。投手が足りない球団は獲得に行ってもいいかなと思いました。
塩澤:150キロを出していないので、数字面でのインパクトはないですけど、安定感はありましたね。
河嶋:156キロを出したオリックスの小野 泰己投手(折尾愛真)にも驚かされました。速いだけでは意味がないといわれますが、確かにボール先行も多い。150キロを出す投手は増えていますが、155キロ以上は別世界です。
塩澤:あれだけゾーンにバラついていたので、勝負できるかというのは置いておいて、面白い投手ですよね。
河嶋:パワー系が欲しい球団ならばありだと思っています。パワーピッチャーならば阪神の佐藤蓮投手(飛龍)もアピールできました。152キロのストレートの威力は凄まじいものがありました。
塩澤:荒れていましたけど、ストレートはしっかりとした強さがあって、フォークもゾーンへ強いボールを投げられていました。
河嶋:DeNAの徳山 壮磨投手(大阪桐蔭)はストレートのほとんどがシュート回転する投手でした。高校時代からみていますけど、ここまではっきりとシュート回転するストレートで勝負したのには驚きました。右打者の内角に食い込むので、右打者には強いですが、左打者への投球を苦手にしている。フォークの投げ分けと左打者に対しての制球力が改善すれば、まだ勝負できる投手ですね。
塩澤:ほかで気になった投手はいますか。
河嶋:25歳以下の投手だとまとまっていたのは西武・井上 広輝投手(日大三)。回転の良い145キロ前後の速球は可能性を感じる。まだ勝負できる投手。
広島・小林 樹斗投手(智弁和歌山)は、145キロほど出ていて、変化球の精度も悪くなかった。暖かい日で、コンディションも万全ならば、150キロは期待できる。
塩澤:あれほど投げられると思わなかったですね。

森木はまだまだ再生できる
河嶋:森木 大智投手(高知)はまだ可能性を感じるというか、今後も進化が期待できるほどのストレートの強さがありました。
塩澤:森木は将来性含めて、参加した投手の中でも上位に入ったでしょう。いきなり149キロで入ったので、おっと思いました。インパクト十分でしたし、この日のためにツーシームを練習してある程度投げられるところに本来は器用。野球センスの高い投手なんだなと思いました。
河嶋:いきなりNPBでできるかは分からない。支配下の上限もあるので、あれば育成かもしれません。独立、社会人などこだわらなければ、プレーできると思います。
彼のNPB復帰の手助けをしたいと思う野球関係者は多いはずです。プロ入り時と比べればアームアングルが低くなった。無理に角度を上げることなく、本人なりに今の投球フォームについてだいぶ割り切って勝負できていたので、今の形が馴染めば、もっと良くなると思います。
塩澤:森木投手が潜在能力の高さを見せた中、ソフトバンク・風間 球打投手(明桜)は最速143キロと球速があまり出ていなかったのが寂しい感じがしました。
河嶋:高校時代からかなり球速が落ちていて、コンディションがあまり良くないのが気になりました。今のままだと高校卒業後、何も達成感がないまま終わってしまう感じではないかなと思いました。どのステージでもいいので、やり切ってほしいと思いました。
塩澤:自分も続けてほしいと思っています。
河嶋:またトライアウトを見ていると、投手が戦力外になるかどうかの見極めに“球威”があるのだと感じました。成績が悪くないのに戦力外になっている投手は、球威が弱い。中継ぎで実績を残した又吉 克樹投手(西原)は最速140キロ。コーナーを上手く攻めていましたが、球威で物足りなさを感じました。風間投手はコンデイション、又吉投手は球威面でランキング外とさせてもらいました。
塩澤:確かに球速はあまりないように感じました。
河嶋:球威、安定感だと、オリックス・井口 和朋投手(武相)、ロッテ・西村 天裕投手(県和歌山商)は良かった。井口投手はスライダー、西村投手はスプリットが非常に鋭かったですね。
左投手NO.1は日本ハム・福田
河嶋:左投手だと、三者連続三振のソフトバンクの大城 真乃投手(宜野座)が非常に良かったです。打ちにくそうな投手でした。変則サイドは人気になりやすい。
塩澤:自分も大城投手が一番良く見えました。右なら宮森投手、左なら大城投手でした。
河嶋:総合力だと日本ハム・福田 俊投手(横浜創学館)。変則気味で、140キロ台前半でも球威はありました。しっかりと攻めることができていた。大城投手は143キロが1球出ましたが、球威の面では疑問符がつきました。もしNPBが取りに行く場合、球威を見るために、テストをする球団もあるかもしれないと思いました。
塩澤:ほかではどうでしたか。
河嶋:巨人・鴨打 瑛二(創成館)。195センチの長身から繰り出す直球は最速143キロで威力も角度もあった。まだ22歳。フォームの連動性を見ると、今後も速くなる投手だと思います。
塩澤:ヤクルトでも実績のあったヤクルト・山本 大貴投手(北星大付)はどう見ていますか。
河嶋:個人的には球威が少し弱い感じがしました。とはいえ、一軍でも実績のある投手でしたので、投球術は光っていました。またソフトバンクの田丸 文丸投手(秀岳館)はまとまっていましたけど、直球が走っていないのが気になりました。