日本プロ野球未導入、走者がいない場合は15秒、いる場合は20秒以内 野球日本代表「侍ジャパン」は宮崎強化合宿中の10日、…
日本プロ野球未導入、走者がいない場合は15秒、いる場合は20秒以内
野球日本代表「侍ジャパン」は宮崎強化合宿中の10日、ひなたサンマリンスタジアムで広島と練習試合を行い、14-11で乱打線を制した。しかし、日本プロ野球未導入で、来年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に採用される「ピッチクロック」に、選手たちは戸惑いを隠せず、まだ適応できていないようだった。
侍ジャパンはこの日、8投手が登板した。好投した投手もいたが、3回の頭から登板した西武・隅田知一郎投手は2回2/3、9安打5四球9失点の乱調。9回に登場した中日の守護神・松山晋也投手も、4安打を浴びて2点を失い(自責点1)、1イニング持たずに降板した。
村田善則バッテリーコーチは「ボール(WBCで使用するMLB公式球とNPB公式球)の違いも影響したかもしれませんが、そちらは大きな問題ではなく、微調整で済むのではないかと思います。どちらかというと、やはり時間(ピッチクロック)ですね。普段、日本ではやりたいルーティンもできるし、考える間もあるので、どうしても慌ててしまいがちです」と指摘した。
ピッチクロックとは、投手はボールを受け取ってから、走者がいない場合は15秒以内、いる場合は20秒以内に投球動作に入らねばならないルールで、制限時間を超えた場合は1ボールが宣告される。この日は中堅バックスクリーンとバックネットにピッチクロックのカウンターが設置され、残り時間を表示していた。
村田コーチは「現在合宿に参加している投手のシーズン中のデータを見ると、投球間隔に平均21~25秒かけている投手が多く、20秒以内に収まっている投手はほぼいない。ですから、普段のペースでやっていると違反を取られてしまうのです」と明かした。
実は打者にも適用…初球前に1ストライクを取られた楽天・村林
また、実はピッチクロックは、打者にも適用されるルールである。投手の制限時間が残り8秒になるまでに、打撃態勢を取らなければならず、違反すれば1ストライクが宣告される。この日の初回、「7番・三塁」でスタメン出場した楽天・村林一輝内野手が初球の前に、打撃態勢を取るのが遅れ、いきなり1ストライクを取られるシーンがあった。
もっとも、この日に関しては、侍ジャパンの攻撃中、広島の投手は投球間にどれだけ間隔を空けても違反を取られず、打者にだけピッチクロックが適用されるというアンバランスなルール設定があった。井端弘和監督は「今回はカープさんの投手は違反を取られないという事情があり、相手投手のゆっくりなペースに合わせていると、ああいうことになるのかなと思いました。本番では相手投手も急ぐので、大丈夫かなと思います」と気に留めなかった。ただ、WBCや、今月15、16日に東京ドームで行われる「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国」で注意を要する点ではある。
さらに、守備中の野手もピッチクロックの影響を免れない。中堅手としてスタメン出場した阪神・森下翔太外野手は、後方の飛球を捕球した後、定位置へ戻っている途中でピッチクロックのカウントが始まってしまい、慌てて全力疾走する一幕があった。井端監督は「投手は早く投げないといけないと考えるし、一方で外野手はまだ定位置に戻っていなかった。ああいうことは、本番ではないようにしないといけないですね。(定位置へ)戻りながら内野へ返球するとか、考えないといけない」と警鐘を鳴らした。
ピッチクロックを2023年から導入しているメジャーリーグは、何かと時間短縮に躍起だが、日本の野球は“間(ま)”や駆け引きを楽しむスポーツとして発展してきた経緯がある。それでも、WBC連覇を成し遂げるには、この文化の違いを乗り越えなければならない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)