今シーズンのルヴァンカップ覇者が決まった。11月1日に行われた決勝で、サンフレッチェ広島が柏レイソルに3-1で勝利した…

 今シーズンのルヴァンカップ覇者が決まった。11月1日に行われた決勝で、サンフレッチェ広島柏レイソルに3-1で勝利したのだ。この試合で両チームは、それぞれ「新たな姿」を披露したという。どういうことか。サッカージャーナリストの後藤健生が「Jリーグの行方」すらも左右しかねない、その「変貌」と「進化」について徹底解説する!

■ハーフタイムに3人交代「諦めない」柏

 前半戦を終えて広島が3点のリード。

 しかし、柏もまだ諦めない。ハーフタイムに3人の交代を使って、攻撃を仕掛けてきた。

 前半に戸嶋祥郎が最終ラインに下がってプレーしたのと同様、戸嶋に代わって入った小西雄大がやはり下がって原田亘と三丸拡が前半よりさらに積極的に前に出る。

 WBの小屋松知哉(左)と山之内佑成(右)はMFとしてプレーして原田や三丸が進出するスペースをつくる。そして、フリーマンの小泉佳穂は中盤の低い位置に下がってパスを散らす役割を担う。

 そして、1トップはポストプレーでゲームをつくった垣田裕暉に代わって細田真大が入ってゴールを狙う。

 システムは前半と同じ3-4-2-1なのだが、攻撃時には変化させて、最終ラインは古賀太陽と小西の2バックで2-5-2-1のような形と言っていいだろう。

■日本代表FWの「ファーストチョイス」に

 しかし、3バックを中心とした広島の守備はなかなか崩せない。81分に小屋松からの縦パスを受けた細谷が相手DFをハンドオフしながらうまくターンして決めて1点を返すにとどまった。

 このゴール前での細谷の動きは、彼のストライカーとしての能力の高さとフィジカル的な強さを示すものだった。あのようなゴールをコンスタントに決めることができようになれば、リカルド・ロドリゲス監督も細谷を先発で起用するにようになるだろうし、日本代表のストライカーのファーストチョイスにもなれるだろう。

 1点を返した直後の85分にも柏はゴール前でパスをつないでチャンスをつくり、最後は細谷が抜け出してボレーシュートを狙ったが、これは枠をとらえることができなかった。

 もしこれが決まっていたら、細谷に対する注目度もさらに上がったし、柏が追いつくことも可能だったかもしれないが……。

 結局、試合はそのまま3対1で終了した。

■進化し続ける「両チーム」のこれから

 スコアの上では広島の完勝だったが、さまざまな戦術的な仕掛けをした柏は素晴らしい試合をしたと言っていい。

 リカルド・ロドリゲス監督が就任した最初のシーズンで、従来とはまったくコンセプトの違うサッカーを完成させたことだけでも大したものだが、広島との試合ではその基本形からさらに攻撃のバリエーションを増やして見せた。あれだけポジションを変えているにも関わらず、選手と選手の距離感はしっかり保たれ、バランスを崩さないのだ。やはり、柏は今シーズン最も注目すべきということになるだろう。

 一方の広島は3バックを中心とした守備の堅さを見せつけた。そして、課題だった得点力についてはロングスローを含むセットプレーという形で結果を出した。

 ミヒャエル・スキッベ監督はパスをつなぐ攻撃的なサッカーを目指しているはず。そして、スキッベ監督はけっして勝負にこだわる指導者ではない(もし、彼に勝負にこだわる姿勢がもう少しあれば、リーグ戦のタイトルも手にしていたかもしれない)。従って、「セットプレーからの得点だけ」というのは、スキッベ監督にとってけっして本意ではないだろうが、一つの大きな武器を手にしたことは間違いない。

 リーグ戦の逆転優勝は難しいだろうが、広島にはまだもう一つのカップ戦、そしてACLエリートという大会も残っているので、今後はこの新しく手に入れた武器を使って戦うことになるのだろう。

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