(3日、秋季高校野球近畿地区大会決勝 神戸国際大付7―6智弁学園) 九回2死三塁。1ボール2ストライクから、神戸国際大…

 (3日、秋季高校野球近畿地区大会決勝 神戸国際大付7―6智弁学園)

 九回2死三塁。1ボール2ストライクから、神戸国際大付の捕手、井本康太(2年)は最後の相手打者が空振りしたワンバウンドの変化球を、しっかり止めた。

 「低め意識、低め意識と投手に言ってきた」

 落ち着いて一塁へ送球してアウトにした。マウンドでできた歓喜の輪に、少し遅れて飛び込んだ。

 人口2万4千人の長崎・壱岐島出身。中学時代は軟式野球部だった。1年生だった2021年に行われた、全国高校選手権大会の3回戦。地元の長崎商と対戦したのが神戸国際大付だった。

 結果は、神戸国際大付が延長十回をサヨナラ勝ち。テレビで観戦していて、「打撃が本当にすごい。ここぞというときに絶対に打つ感じだった」。

 中学時代の井本が県選抜のメンバーに選ばれたことをきっかけに、神戸国際大付の関係者から声がかかった。

 県外の高校で勝負したかった井本に対し、県内で進学してほしかった親は反対した。

 「激戦区を勝ち抜いてこその甲子園だと思った」と井本。当初は泣いていた母も、説得の末に「頑張って」と神戸まで送ってくれた。

 島にある壱岐高は、今春の選抜大会の21世紀枠で甲子園初出場を果たして話題になった。選手のほとんどが中学時代の知り合いだ。

 一方、神戸国際大付は21年夏を最後に甲子園から遠ざかっている。少しうらやましく思ったが、「次、僕たちが行けば良い」と練習に打ち込んだ。

 新チームでは主将になった。厚い投手層を武器に秋の兵庫県大会を制すると、近畿大会決勝までたどり着いた。

 決勝は強打の智弁学園に6点を与えたが、四回以降は無失点で乗り切った。

 井本は3投手をリード。打っては同点の八回2死から右前安打で出塁すると、橋本大智(2年)の二塁打で勝ち越しの本塁を踏んだ。

 井本は胸を張って言った。「個々の能力は高くないけど、(ベンチの)20人だけじゃなくて、スタンドで応援している仲間も一緒にチーム力で戦っています」

 次戦は明治神宮大会。島を飛び出して得た信頼できるチームメートとともに、全国の猛者たちと相対する。(室田賢)