日本シリーズも終了し、各球団は来季へ向けて、秋季キャンプを行っています。 その中で、来季こそ巻き返してほしい選手がいます…

日本シリーズも終了し、各球団は来季へ向けて、秋季キャンプを行っています。

 その中で、来季こそ巻き返してほしい選手がいます。ロッテの安田尚憲内野手(履正社)です。安田選手は今季、350打席立ちながら0本塁打。昨シーズンも174打席立ちながらも本塁打を打てず、500打席以上もアーチから遠ざかっています。現在の通算本塁打は33。入団前からの期待と比べると物足りない数字です。

 高校時代、大型スラッガーとして大きく育つと思っていた安田選手。現在のプレースタイルは想像できませんでした。

木製バットでも本塁打量産!高校時代はプロで長距離砲になれる打撃をしていた

安田選手の長打力に驚かされたのは、高校2年春(2016年)の大阪春季大会5回戦・東海大仰星戦です。この試合まで安田選手の名前は知らず、1学年上の寺島成輝投手(元ヤクルト)を目当てに舞洲ベースボールスタジアム(現・大阪シティ信用金庫スタジアム)まで見に行きました。

 この試合で安田選手は場外本塁打を放ちます。打った瞬間にホームランとわかる打球は場外へ。通称・舞洲球場と呼ばれるこの球場は、本塁打の打つのが非常に難しいスタジアムとして知られています。両翼100メートル、中堅122メートル、フェンスも非常に高く、さらに海に近い球場なので、風も強く吹いているのです。この球場で特大本塁打はなかなか見られません。それだけに188センチ94キロと堂々たる体格の安田選手のパワーに惹かれました。

 後の取材で安田選手はこの本塁打について、「公式戦初本塁打だったので、とても自信になった一発です」と振り返っています。その後、春季近畿大会では10打数5安打5打点の活躍で、優勝に貢献。夏の甲子園にも出場し、一躍ドラフト候補として評価を高めました。

 安田選手が世代上位のスラッガーと呼ばれるようになったのは、2年秋に行われた明治神宮大会ではないでしょうか。当時、すでに高校球界を代表するスラッガーと呼ばれた早稲田実・清宮幸太郎選手と決勝戦で戦うことになり、ともに決勝戦で本塁打を打ちました。

 凄まじい打球速度でライトスタンドへ飛び込んだ安田選手の当たりは衝撃でした。この活躍で、「東の清宮」「西の安田」と称されるようになりました。大会後の12月、安田選手を取材すると、清宮選手に対抗心を燃やしていました。

「清宮を意識するなといっても、勝手に意識してしまうもので、負けられない気持ちはあります。彼は本当にすごい打者で、神宮大会でもそのすごさを実感しました。だからこそ春には清宮を上回れる打者になりたいです」

 最終学年に進んだ安田選手は凄まじい打撃をします。特に夏の大阪大会では、19打数12安打3本塁打13打点。ポイントも広く、どのコースが来ても弾き返しており、ドラフト1位は間違いないと思わせる内容でした。最後の夏は大阪大会ベスト4で敗れましたが、世代屈指のスラッガーとして評価され、U-18代表にも選出されました。

 木製バットになっても豪打は健在で、千葉工大とのオープン戦では2本塁打。ヘッドスピードの速さ、打球速度、飛距離ともに大学生スラッガーとほぼ変わらない選手でした。こうした打撃を18歳にしてできているので、評価はうなぎ登りでした。

アベレージタイプは想像できなかった…

高校時代の安田

迎えたドラフトでは、ハズレ1位で3球団の競合となり、ロッテが交渉権を手にしました。ロッテとっては待望の左の長距離砲が獲得でしたが、プロでは思うような活躍ができていません。プロ1年目から初本塁打を記録し、3年目の20年には6本塁打、4年目には8本塁打と同世代の選手の中では、悪い数字ではありませんが、入団前の期待を超えていません。

 そして22年、23年は2年連続して9本塁打を打ちますが、なかなか二桁本塁打に到達できません。今年は317打数77安打、0本塁打、25打点、打率.243に終わりました。23年以来、本塁打が出ていません。

 現在の打撃を見ると、高校時代のようなどっしりさはなく、トップが浅く、回転も弱い打撃フォームとなっています。そのため打球に角度が付かず、ライナー性の打球が多くなっています。188センチ100キロと強靭なフィジカルがあるため、軽く当てたように見えても、打球は飛びます。

 フェニックスリーグ最終戦では4安打を打ちましたが、アベレージヒッター系の打撃スタイルになっていました。コースに逆らわず、広角に打ち分ける打撃はさすがですが、球団、ファンは豪快な打撃を求めています。

 新しく就任した西岡剛コーチから熱心に指導を受ける姿が報道されており、なんとか変わってほしいと思います。

 20代後半から一気に本塁打を量産した高卒ドラ1スラッガーといえば、巨人、日本ハム、DeNAの3球団でプレーした大田泰示氏がいます。

 巨人ではわずか9本塁打でしたが、移籍1年目の17年にいきなり15本塁打。大田氏は27歳で一気に大化けを果たしましたが、安田選手は来年27歳を迎えるシーズンになります。大田選手は環境が変わったことで、類まれな長打力を発揮しましたが、安田選手は来年こそ手応えある打撃フォームでやり通してほしいです。

 来年、確変ともいえる成績を残すことができるか注目したいと思います。