まもなくフィリピンで女子フットサルのW杯が開催される。今回の開催が第1回目となるこのW杯には、日本代表チームが出場するこ…
まもなくフィリピンで女子フットサルのW杯が開催される。今回の開催が第1回目となるこのW杯には、日本代表チームが出場することがすでに決定している。
そして日本フットサル界にとって、もう一つの快挙がこの11月のW杯で達成される。今回のW杯の審判として、日本から山本真理氏と齋藤香菜氏の2人が召集されたのである。
初めての開催となる女子フットサルのW杯で審判として選出された2人に、W杯への意気込みやフットサルについて、話を聞くことができた。
選手が気持ちよくプレーできるような審判を
最初にお二人から、11月のW杯に向けた意気込みを聞かせてください。
山本真理審判員(以下、敬称略) 「とても光栄に思っています。まず、今回は初めての女子フットサルのW杯ということで、私自身待ちに待った大会でしたので、その場に審判員として立つことができて、とてもうれしいです。とはいえ、ゲームの場ではいつも通りのことをして、選手が力を発揮できるようにしたいです。また、W杯ではビデオサポート(VS)あるので、対応できるように全力で準備したいです。」
齋藤香菜審判員(以下、敬称略) 「とてもうれしいです。私の国際審判としてのキャリアは短いのですが、今年になってからアポイントをいただくことも増えて、同時にW杯に選ばれたいな、と考えるようになりました。大会では、目の前の試合を大切に、選手が良いパフォーマンスでプレーできるようなレフェリングをしたいと思います。」
お二人とも、海外のゲームでの審判の経験も豊富と伺っております。日本のゲームと比較して、海外での試合での審判をするときに特別に意識していることなどありますか。
山本「基本的には、日本でも海外でも審判のやり方は変わりません。でも、日本国内のゲームは、丁寧にパスをつなぐ形になることが多いのですが、海外特にアジアだとプレーがダイナミックになることが多いです。そのため日本と比べると、接触プレーが多くなり、ゴール前ではキーパーに突っ込む選手も珍しくありません。そうしたときに、問題ないプレーだったのかどうかを見極めなくてはなりません。また、必ずしも英語が堪能な選手ばかりではないので、わかりやすいボディ・ランゲージを使う必要性も出てきます。
また、気候が全然違う国で審判をするときには、日本にいる時からゲームに対応するための体調管理が必要になります。例えば、私は昨年の冬に、今回W杯が開催されるフィリピンへ行って笛を吹いてきたのですが、やはりフィリピンは日本と比べて冬でもすごく暑いんですね。そうした時には、日本にいる時から、お風呂に長くつかって汗を出す練習をしておきます。それでも現地での最初のトレーニングでは大汗をかきますが、それ以降は体が暑さに慣れるのか、普段通り走ることができました。」
齋藤「海外で、特に各国の代表選手が出場する試合などでは、国を背負った選手たちが本当に集中してプレーしています。だから、プレーも白熱しますし、たとえ点差が大きく離れていても、ゲームへの集中力が途切れません。その結果、日本ではあまり経験のないような突拍子のないファウルも起こったりするので、その時にきちんと判断できるように準備することが必要になります。
また、私もフィリピンでのW杯のために、今から汗をかく練習をしている最中です。幸い私は温泉が豊富な地域に住んでいるので、ほぼ毎日温泉に入って暑さに対応するためのトレーニングをしています。」
お二人は女子の試合だけでなく、男子の試合も審判をされますよね。男子の試合で審判を務める時に、何か気をつけていることはありますか。
齋藤「男子の試合は、審判の様子を見ながら選手がいろいろ駆け引きをしてくるので、より細かなマネジメントが必要とされます。そのため、選手の様子や動きをよく見ておくことがますます必要になります。
また、男性の方が体が大きく動きも早いので、試合の強度も男子の試合の方が高くなります。私自身、男子のフットサルの試合は意識的に見るようにしています。男子のスピードについていけるような審判ができれば、女子の試合にも活かせると思いますので。」
山本「確かに男子の試合では、ボールの動きも早いですし、接触プレーも多いので、正確なジャッジを良い位置でするため予測を女子の試合より早くする必要があります。場合によっては、自分より体の大きな選手が猛スピードでこちらに突っ込んでくることもありますから。」
齋藤「実は先日、海外で男子の試合の審判をしてきたのですが、その会場で審判の走るエリアが幅1mくらいしかなくて、私の背中のすぐ後ろが壁でした。もし選手が突っ込んできたら逃げ場がない一方で、プレーの邪魔にもならない位置取りを心掛けました。」
世界中から27人しか選ばれないW杯のレフェリー
今回のフィリピンのW杯では、全体で何人のFIFAの審判が集まることになるのでしょうか。
山本「全体で27人です。日本からは齋藤さんと私が召集されましたが、世界中からFIFAの審判が集まります。ちなみに、1試合で5人の審判が働くことになります。」
そうなると、W杯期間中は審判の方もかなり忙しいスケジュールになりますね。
山本「確かに予選リーグは大変ですね。実は予選リーグが終わった後、決勝トーナメント戦に行く前に、どの審判が残ってどの審判が帰国するのかを、FIFAが決めるんです。そしてその判断材料の一つとなるのが、審判アセッサーによる評価なんです。
私たち審判は予選リーグでよい審判をして、そのうえで決勝リーグでも笛を吹けるチャンスがあればよいな、と思っています。」
最後の質問になります。女子のフットサルの魅力とは、何でしょうか。
山本「選手みんながひたむきにプレーするところでしょうか。審判に対しても選手はリスペクトを持って対応してくれますし、本当に一生懸命な人が多いです。」
齋藤「フットサルって、実はたくさんの戦術があって、それがこの競技の魅力だと思っています。プレーがスピーディーで、試合展開も早い上に、緻密な技術と戦術が繰り広げられています。女子のフットサルの方が、試合展開も追いやすく、一つ一つのプレーが良く見えると思います。フットサルを初めて観戦する方は、女子のゲームから見た方が各チームの戦術なども追いやすいので、楽しんでいただけるのではないでしょうか。」
今回の女子フットサル日本代表のW杯出場は、日本のフットサル界にとって大きな喜びであることは間違いない。しかし、同時に二人の日本人審判がW杯に召集されるということは、日本のフットサルのレベルの高さを示すものであると言ってもよいのではないだろうか。
両名がW杯の舞台に立つ11月、もう一つの日本代表の活躍が始まる。
(写真提供 AFC/H.T)(インタビュー・文 對馬由佳理)



