毎年のように優勝や上位をうかがう両チームだが、今年の日本シリーズは、ともに昨年の悔しさを晴らす舞台と言える。 ソフトバ…

 毎年のように優勝や上位をうかがう両チームだが、今年の日本シリーズは、ともに昨年の悔しさを晴らす舞台と言える。

 ソフトバンクは昨年、勝ち越し42の独走でリーグを制した。ところが、DeNAとの日本シリーズでは2連勝した後、まさかの4連敗を喫した。

 「最後に勝ちきらんとこんな思いになるんやな、と去年、経験している。それは是が非でも避けたい」。監督1年目だった当時の無念を、小久保裕紀監督は正直に明かす。

 山川穂高も「悔しい思いを取り返すのが今年の日本シリーズ」と断言する。

 一方の阪神。巨人に2年連続のリーグ優勝を阻まれて2位となり、クライマックスシリーズでは3位のDeNAに敗退。そのDeNAが巨人、そして日本シリーズでソフトバンクを破って「下克上」を完結させた。

 ただ阪神には、「昨年は昨年」と割り切っている選手が多いように見える。「(圧勝した)シーズン同様、自分たちの戦いをすればいい」。選手会長の中野拓夢は冷静だ。

 今年から阪神を率いる藤川球児監督は、試合を決める活躍をした選手がいても極力、殊勲者を限定しない。「チームとして戦っている」ことを強調する。

 小久保監督は積極的に個人名を挙げ、鼓舞するスタイルだ。第3戦、3連続三振でピンチをしのいだ藤井皓哉を「藤井さまさま」と持ち上げた。

 現場のトップが口にする言葉には、信念と思惑が隠されている。この頂上決戦でどんな言葉を紡いでいくのか、注目したい。(山田佳毅)