■驚異のチーム打率.325、チーム防御率0.70で他大学を圧倒 東京六大学野球秋季リーグは27日、既に5季ぶり44回目の…
■驚異のチーム打率.325、チーム防御率0.70で他大学を圧倒
東京六大学野球秋季リーグは27日、既に5季ぶり44回目の優勝を決めていた明大が立大2回戦に15-0と大勝。10戦全勝で今季全日程を終了した。10戦全勝優勝はリーグ史上6度目、明大としては1996年秋以来29年ぶり2度目の快挙だ。チーム打率.325、チーム防御率0.70はいずれもリーグ断トツで、攻守に他大学を圧倒したシーズンだった。
「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー……」。試合終了後、グラウンド上で戸塚俊美監督を10戦全勝にちなんで10度胴上げした明大ナインは、続けて誕生日を祝う歌を合唱し始めた。祝われたのは、「4番・捕手」で23日のプロ野球ドラフト会議で西武から1位指名されたばかりの小島大河捕手(4年)だ。
前日(26日)の試合が雨天順延になっていなかったら、監督の胴上げと自分の誕生日が重なることはなかったわけで、小島は「今までで一番いい誕生日になりました。ありがたい雨でした」と照れ笑いを浮かべた。
この日は、初回から打線が猛攻。先頭の岡田啓吾内野手(3年)が中越え三塁打を放つと、続く2番・田上夏衣外野手(2年)がすかさず先制中犠飛を打ち上げる。3番・榊原七斗外野手(3年)が敵失、4番の小島も右前打でつなぎ、6番・宮田知弥内野手(4年)の右前2点適時打を引き出し、この回一挙3点を奪ったのだった。
結局、小島は6打数4安打で今季打率をリーグ3位の.432に上げ、驚異的なチーム打率を誇る明大打線の中でもトップの数字を残した。さらに、チーム防御率は0点台。小島のリードが果たした役割は大きかったはずだが、本人は「投手陣の個々の成長が一番大きかったと思います」と謙虚に受け止めた。

■打者は広澤克実氏、投手は武田一浩氏が指導員としてアドバイス
その投手陣は今季、ロッテからドラフト2位指名されたエースの毛利海大投手(4年)が4勝0敗、防御率1.13と抜群の安定感を発揮。2回戦の先発を任された2年生左腕の大室亮満投手も、防御率0.44で最優秀防御率のタイトル獲得が確定的となった。リリーフ陣も、セットアッパー役の菱川一輝投手(4年)が8試合(計11イニング)無失点と無双。日本ハムから1位指名された守護神・大川慈英投手(4年)も、防御率0.75で相手を寄せつけなかった。
何しろ、投手陣全体で今季、10試合で9点しか取られていない(自責点は7)のだから、驚異的と言うしかない。
もともとチーム力を高く評価されながら、今春まで4季連続2位にとどまっていた明大。OBたちも奮起し、2020年から助監督を務めていた戸塚監督が今春現職に昇格したのに合わせ、打撃面はかつてヤクルト、巨人、阪神で長距離砲として鳴らした広澤克実氏、投手陣はNPB通算89勝の武田一浩氏が、指導員となって強化に乗り出した
小島は「広澤さんには、いろいろなボールを打とうとするのではなく、狙い球を絞って打ちなさいと言われていて、今季はそれを体現できたと思います」とうなずく。
投手陣では菱川が大学最終シーズンにして急成長を遂げたが、武田氏が「投球動作の中で、グラブをはめた左手を高く上げていたのを、マウンドの傾斜に沿って下げるようにアドバイスしたら、夏を通じて練習して、格段によくなりました」と謎解きする。
今年の3人を含め、16年連続でドラフト指名選手を輩出し史上最長記録を更新中。それでも武田氏は「もっとプロへ行っていてもおかしくないくらい、明治には有望な素材がたくさんいます。投手としての智恵を教わり、身に着けていけば、来年以降もドラフトで指名される子は続くのではないでしょうか」と太鼓判を押す。
来年以降も明大から目が離せないが、まずは今年11月、東京六大学代表として出場する明治神宮野球大会で、どんな“置き土産”を披露するのか楽しみだ。