ブルージェイズ打線に全くと言っていいほど付け入る隙を与えなかった山本(C)Getty Images「あの投げ方は美しい。…

ブルージェイズ打線に全くと言っていいほど付け入る隙を与えなかった山本(C)Getty Images
「あの投げ方は美しい。それは今までも何百回と言ってきた」
大舞台で続く反響が止まない。現地時間10月25日、山本由伸(ドジャース)は敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ第2戦に先発登板。9回(105球)を投げ、4安打、1失点、8奪三振で今ポストシーズン2戦連続の完投勝利を飾った。
【動画】WSで対決!山本由伸がゲレロJr.からカーブで空振り三振を奪うシーン
圧巻の投球だった。序盤から冴えわたったカーブを軸にブルージェイズ打線をほんろうした山本は、3回にアレハンドロ・カークの犠牲フライで1点を失ったものの、4回以降はパーフェクトピッチ。8回には3者連続三振を奪うなど、最後まで球威は衰えなかった。
メジャーリーグのポストシーズンにおいて、2戦連続完投をやってのけたのは、2001年にダイヤモンドバックスを世界一に導いたカート・シリング以来の快挙。MLB通算216勝と並ぶハイパフォーマンスを見せたことで、山本への評価はうなぎ登りとなった。
無論、試合後にはドジャースナインからも称賛の声が居並んだ。
「本当に素晴らしかった」
そう語るのは、今季限りでの現役引退を表明しているレジェンド左腕のクレイトン・カーショーだ。試合後に米スポーツ専門局『Sports Net LA』などのフラッシュインタビューで持論を展開した。
かねてから山本を「最高の投手」と評してきたカーショーは、今ポストシーズンでの計216球の熱投を目の当たりにし、「アメージングだった」と率直に称賛。そして、「特に凄かったのは、ヤマが初回に無死一、三塁のピンチを切り抜けた場面だ」と続けた。
一気に向こうに流れが傾きかけた場面だった。先頭のジョージ・スプリンガーとネーサン・ルークスに二者連続安打を許した山本だが、ここから立ち直る。3番のブラディミール・ゲレーロJr.を空振り三振に切って取ると、カークを一塁へのライナー、そして5番ダルトン・バーショは見逃し三振に抑え込んだ。
緊張の場面をクレバーに抑え抜いた山本の投球を振り返るカーショーは、その凄みを淡々と語った。
「あの場面で彼は何とか自力で切り抜けたんだ。しかも、そこから球数も抑えていたし、二回も三回も色々ありながらも凌いだ。すべてをやってのけたのは、本当にアメージングだった。だって相手は打力があるチームだからね。でも、いったん、先頭打者を打ち取り始めたら、もう完璧だった。本当に完璧だった」
さらに「あの投げ方は美しい。それは今までも何百回と言ってきたことだ」と強調するカーショーは、山本がなぜメジャーの強打者たちと対峙できるかも論じている。
「彼のボールの投げ方そのものが完璧なんだ。無駄がなくて、効率的なんだ。それに何でもできる。ここに来た当初は、基本的に速球系のボールに、カーブとスプリットぐらいだった。でも今ではシンカーやカットに、スライダーまである。だいたい6つぐらいの球種を本当に巧く操るんだ」
記者から問われた「ヤマモトの価値」
メジャーリーグで18年のキャリアを積み重ねてきた。そんな球界の酸いも甘いも噛み分けてきたカーショーは、数多の投手たちと投げ合い、苦楽も共にしてきた。だからこそ、大舞台で真価を発揮する山本の快投がどれだけの価値があるのかを論じずにはいられないのだろう。
記者から「もしも負けたら、ビハインドになる試合で、比較的に若い投手が、あの水準の打線に踏ん張ったことをどう見るか」と問われた37歳は、こう切り返している。
「彼は年齢的に若いけど、もうプロの世界では7、8年はやっている。日本でもタイトルを獲っているはずだ。だから彼はこういう状況でも動じない。自分が何をすべきかを分かっているし、(プレッシャーを)まったく気にするようには見えなかったしね。去年も凄く良かったけど、今年はただただ別次元だ。本当に凄いことだと思う」
最後まで山本を称賛し続けたカーショー。レジェンドが発した言葉の数々は、ドジャースが締結したメジャーの投手史上最高額となる3億2500万ドル(約495億円)の価値を大いに物語るものだった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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