大物揃いだった2000年代の巨人の中で4番を打つなど異彩を放ったイ・スンヨプ氏(C)産経新聞社 驚きの抜擢だった。10月…

大物揃いだった2000年代の巨人の中で4番を打つなど異彩を放ったイ・スンヨプ氏(C)産経新聞社

 驚きの抜擢だった。10月22日、巨人は今月29日から稲城市のジャイアンツタウンと川崎市のジャイアンツ球場の室内練習場で行われる秋季キャンプに、球団OBのイ・スンヨプ氏を臨時コーチとして招聘することを発表した。

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 現役時代から日本との繋がりは深い韓国のレジェンドだ。2003年に年間56本塁打を放ち、「アジアの大砲」と呼ばれたイ・スンヨプ氏は、千葉ロッテ、巨人、オリックスと8年に渡ってNPBでプレー。2006年から約5年間に渡って在籍した巨人では、加入初年度に41本塁打、108打点を叩き出すと、翌年も30本塁打をマークして原辰徳監督が率いたチームのV奪回に大きく貢献していた。

 引退後は指導者に転身し、2023年からは韓国プロ野球(KBO)の斗山で監督を務めていたイ・スンヨプ氏。今年6月に同職を辞任してからフリーの身になっていたとはいえ、若手への熱心な指導に対する母国内での評価は高い。KBO球団から何らかのオファーあったというのも想像に難くない。

 ではなぜ日本で指導経験を培おうとしたのか。そこにはレジェンドの飽くなき向上心があった。

 臨時コーチとしての招聘発表後に韓国メディア『OSEN』の取材に応じているイ・スンヨプ氏は、「監督として在任中に自分に補完すべき点が多いと感じた。今回は打撃だけでなく、投手陣の強化方法、作戦面など様々な部分を学びながらさらに成長したい」と強調。そして、自身の心境を打ち明けている。

「私は最近の国際大会で日本の野球が強いワケを直接見て知りたいんだ。指導者も絶えず学ぶべきだと考えている。だから読売で、ふたたび野球について考えられるのは大きな栄誉だ」

 現役時代からイ・スンヨプ氏と親交もあった阿部慎之助監督と存在も影響したと考えられる。その上で『OSEN』は「日本のプロ野球球団に身を包んだある野球界関係者」の情報として、今回の招聘がいかに稀有であるかを伝えている。

「巨人の秋季キャンプに外国人指導者が臨時コーチとして招かれるケースは非常に稀だ。今回の契約は、イ・スンヨプが阿部監督と親交があったからだけではない。実力と人柄の両面で模範的な人物であるからだ。実際、彼が現役時代に巨人で見せていた態度と影響力のおかげで、韓国の多くの指導者たちが研修を受ける機会を得ていた」

 主砲だった岡本和真のポスティングシステムによる退団が決定的となり、チームの打力アップがテーマともなる今秋のキャンプ。「学びたい」と語るイ・スンヨプ氏がいかなるエッセンスを加えるかは興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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