終盤になってもJ1昇格をかけた混戦が続く明治安田J2リーグ。V・ファーレン長崎は18日、今季最多の1万9614人が詰め…
終盤になってもJ1昇格をかけた混戦が続く明治安田J2リーグ。V・ファーレン長崎は18日、今季最多の1万9614人が詰めかけた本拠地・ピーススタジアム(ピースタ、長崎市幸町)でヴァンフォーレ甲府を4―0で破り、残り5試合で待望の首位に立った。
歓喜に沸くピースタを花火が彩った約1時間半後、中心繁華街の夜空にV・長崎の凱歌(がいか)「カンターレ」が響いた。「アディショナルタイムin思案橋」と銘打たれた催しが思案橋横丁会主催で行われ、ユニホームやこの日スタジアムで配られたシャツなどを着た人たちが広場に集結。V・長崎の元選手の大竹洋平さんの音頭で乾杯した。
龍踊(じゃおどり)が登場すると参加者のボルテージはあがり、予定の進行もお構いなしに「モッテコーイ!」の声をあげて龍を再登場させ、司会者を困らせる一幕も。ほろ酔いの人たちが織りなすカオスに、記者は6年前の10月に大分で見た光景を思い出した。
2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で開催地のひとつになった大分市の中心部は、試合のたび日本人だけでなくニュージーランドやカナダ、英国など様々な国の人であふれた。街頭のテレビ中継に集まり、日本人も外国人も一緒に日本代表を応援している様子には自然と目頭が熱くなった。
準々決勝があった夜には大分駅前商店街がカオスになった。知らぬ同士がすれ違いざまに国籍関係なくハイタッチしたり、写真を一緒に撮ったり、ユニホームを脱いで交換したり。アーケードの中でスクラムやラインアウトをし始める人たちまで出る始末だったが、居心地のよさも感じた。おんせん県・大分の県都で、熱気のなか様々な国の人がはだかの心でふれあう様子について、当時の記事で《街全体が「温泉」になったようだった》と表現した。
ピースタでも試合後、長崎サポーターが相手サポーターに声をかけるなどして一緒に酒を酌み交わしている光景を目にすることがあるが、こうしたスポーツを通じた交流が長崎の街の日常になってほしいと願う。
ピースタは収容人数の条件などから招致できる大会の「格」にこそ制限はあるが、この7月にスペインの名門、レアル・ソシエダードと親善試合を開催。来県者の増加が見込めるJ1への昇格も手が届くところまできた。バスケは長崎ヴェルカがニュージーランド・ブレイカーズを招いて9月にプレシーズンマッチを実施。来年1月にはBリーグオールスター戦も控えている。国内外の観客を迎え入れる機会はさらに増えそうだ。
ピースタが開業し、V・長崎が本拠地を諫早から移して1年。中心商店街では相手サポーターを歓迎する貼り紙を目にすることが増えるなど、長崎市も少しずつ「ホームタウン」らしい顔つきを見せ始めている。
市が運行しているピースタと中心市街地を結ぶ無料シャトルバスもダイヤを修正。8月24日のレノファ山口FC戦から、それまで10分おきに発車していた試合後のバスは5分おきになった。運転手不足に悩むバスを夜間に増発するのは相当な力の入れようだ。観光名所の眼鏡橋を週末にV・長崎のチームカラーの青とオレンジにライトアップしたり、応援Tシャツを配ったりする「ALL NAGASAKI」プロジェクトも市などの協力で始まった。
V・長崎の今季リーグ戦のホームゲームは、25日のFC今治戦と11月23日の水戸ホーリーホック戦を残すのみ。その水戸戦がJ1昇格やJ2優勝を決める場になる可能性もある。(寿柳聡)