■4回1死一、三塁のピンチを二塁手岡田のスーパープレーで脱出 ついに“早稲田の壁”を破った。東京六大学野球秋季リーグは1…

■4回1死一、三塁のピンチを二塁手岡田のスーパープレーで脱出

 ついに“早稲田の壁”を破った。東京六大学野球秋季リーグは19日、明大が早大2回戦に1-0で勝利。開幕8連勝で勝ち点4とし、2023年春以来5季ぶり44回目の優勝を決めた。一方、リーグ史上最長タイ記録の4季連続優勝を目指していた早大は、快挙に届かなかった。

 明大は両チーム無得点で迎えた5回、1死二塁の好機に主将の木本圭一内野手(4年)が左中間を破る適時二塁打を放ち先制。この“虎の子の1点”を4投手のリレーで守り切った。

「打倒早稲田でやってきて、早稲田戦で優勝できたので、最高です」。こう感慨に浸ったのはエースで、5日後のプロ野球ドラフト会議で1位指名候補に名前が挙がる毛利海大投手(4年)だ。

 チームは2022年春から3季連続優勝した後、2023年秋から今春まで4季連続2位。特に昨秋と今春は同率首位でシーズンを終えながら、いずれも早大との優勝決定戦で苦杯をなめさせられた。敗戦投手となったのは、いずれも毛利だった。この日登板しなかった毛利は、優勝決定の瞬間をブルペンで迎え、ナインと抱擁を交わしながら号泣。「昨秋も今春も悔し涙で終わっていて……やっとうれし涙を流せました」と思いのたけを吐露した。

 主将の木本も「昨秋負けて、新チームが結成された時点で連絡用のボードに“打倒早稲田”の文字を掲げ、早稲田に勝つという思いだけでやってきたのに、今春も負けてしまいました。何がいけなかったのかと自問自答しました」と振り返る。そして「今季は(開幕前の)オープン戦も全試合、相手が早稲田だと思って戦ってきました。自分の口からも『早稲田に勝つ』と伝え、春以上に強い気持ちで臨みました」とうなずいた。

 一方、“敵将”の早大・小宮山悟監督は「執着心の差だと思います」と脱帽。それが象徴的に表れたのは、両チーム無得点で迎えた明大の4回の守備だった。1死一、三塁のピンチで、一塁側に舞い上がったファウルフライを二塁手の岡田啓吾内野手(3年)が猛然を追いかけ、ホームベース方向へ背中を向けたままスライディングキャッチ。三塁走者がタッチアップで本塁へ突入したが、岡田は振り向きざまの好返球で刺し、早大に先制点を許さなかった。

4回1死一、三塁のピンチでスーパープレーをした明大•岡田【写真:小池義弘】

■驚異のチーム防御率0.75、チーム打率.314で目指すは全勝優勝

 小宮山監督は「あの岡田選手のプレーを見れば、相当練習を積み、鍛えてきたのだなと思います。翻って早稲田にあのプレーができるかといえば、多分できない。完敗を認めます」とため息をついた。

 また、明大は天皇杯奪回のため、私生活から見直していた。もともと「人間力野球」を掲げ、戸塚俊美監督と野球部員120人全員が「島岡寮」で生活をともにし、規律が厳しいことで知られている。それでも主将の木本は「私生活が乱れると、プレーにも影響してきます。掃除にしても、角にゴミがたまりがちなので、今季は角まできれいにするように心がけました」と強調する。

 これに早大・小宮山監督は「明治さんの規則正しい生活ぶりに比べれば、われわれの方がかなり自由奔放にやっています。とすれば、勝負所でこういう結果になるよね、と個人的には思います。私生活では明治さんを見習わないといけません」とした上で、「ただ、明治さんの真似をしたと言われるのは癪なので、そうはならないようにしたい」と苦笑した。ライバル関係は今後も続いていく。

 溜めに溜めた“打倒早稲田”の思いから、ようやく解き放された明大ナイン。今季はチーム防御率0.75も、チーム打率.314もリーグ断トツで驚異的な数字をマークしている(19日現在)。次週に立大との対戦を残した状況で、客観的に見れば悠々とゴールテープを切った。あとは“全勝優勝”を目指すのみだ。