楽天は昨年のドラフト会議で5球団競合の明治大・宗山 塁内野手(広陵)を引き当てた。その宗山はいきなり規定打席に到達し、新…

楽天は昨年のドラフト会議で5球団競合の明治大・宗山 塁内野手(広陵)を引き当てた。その宗山はいきなり規定打席に到達し、新人王候補に。そして宗山に触発されるように、村林 一輝内野手(大塚)が伸び、最多安打を記録した。

 期待の若手は出てきているが、チーム本塁打70はパ・リーグ最下位、チーム防御率3.44はリーグ5位の数字である。しかも規定投球回に達した投手は一人もいなかった。上位球団に比べれば、投打ともに人材不足だが、今年はどんなドラフトをすればいいのだろうか。

投手中心のドラフトか、捕手1位のドラフトでも戦略的にあり

 楽天は競合必至で立石正広内野手(創価大)を狙いにいくのもアリだが、競合を避けて人数が少ない捕手を1位にする選択肢もある。

 楽天の捕手は支配下5名、育成2名の計7名で、パ・リーグ優勝のソフトバンクの10名(支配下7名、育成3名)と比べれば少ない。去年も捕手不足といわれながら指名しなかった。捕手の指名については高いハードルを設けているように感じる。

 捕手を1位にする場合だと、明治大・小島 大河捕手(東海大相模)が有望だ。東京六大学通算打率.344を記録しており、打てる捕手として評価が高い。近年、大卒からプロ入りした捕手で、これほど打撃技術が高い捕手はいない。キャッチング、スローイングの部分をクリアすれば、1年目からスタメンマスクを被る機会はありそうだ。

 今年は野手の人材が豊富といわれているが、先発投手が足りない状況を考えると、即戦力となる投手の1位も考えられる。即戦力を求めるならば、鷺宮製作所の152キロ左腕・竹丸 和幸(崇徳)が一番計算が立つ。

 また、今年は地元・仙台にこれ以上ないほど人材が集まっている。いわゆる地元ドラフトをしても、戦略的に問題はない。

まずは東北福祉大・櫻井 頼之介投手(聖カタリナ)と仙台大・渡邉 一生投手(BBCスカイホークス・日本航空通信)。

櫻井は大学日本一に貢献した先発型右腕で、カットボールも良い。11日の仙台大戦では完封勝利を挙げ、好調を維持している。

 渡邉は大学3年時に大学日本代表に選ばれた速球派左腕。常時140キロ台後半の速球、多彩な変化球を操る。ストレートの強さは、楽天2年目左腕・古謝 樹投手(湘南学院-桐蔭横浜大)の大学時代を上回るものがある。

 また秋田県出身の早稲田大・伊藤 樹投手(仙台育英)も良い。15年に楽天ジュニアを経験し、中学から仙台育英の系列である秀光中に進み、仙台育英でもエースとして活躍した。早稲田大では、通算21勝を記録している。常時140キロ台中盤の速球、多彩な変化球を投げ、試合を作れる投手である。

2位以降だと中継ぎタイプを指名したい。東北福祉大・堀越 啓太投手(花咲徳栄)が候補になる。常時150キロ台の速球、140キロ近いスライダーで打者を翻弄する。

 東京六大学、東都にも速球投手が多い。東京六大学では、早稲田大の田和 廉投手(早稲田実)が常時140キロ台後半の速球、高速スライダーで勝負する投手で、中継ぎとして計算できる。また明治大の大川 慈英投手(常総学院)は最速155キロの速球で圧倒する。

 今季52試合登板の西口 直人投手(山本)が大きく活躍したが、来年、今年同様のパフォーマンスができるかは未知数なところがあり、中継ぎに厚みを持たせたいところだ。

 △仙台大の平川外野手

仙台大の俊足強打のスイッチヒッターの評価が急上昇!

 一方、野手はどうか。ここにきて仙台大の平川 蓮外野手(北海)の評価が急上昇している。187センチ92キロの恵まれた体格からリーグ通算8本塁打を記録しているスイッチヒッターで、抜群の俊足、強肩を誇る。走れて本塁打が打てる外野手として、ラストイヤーで成長のピークを迎えている。

 1年目から二軍でレギュラーとして出場し、プロの水に慣れながら、2、3年目以降に一軍ブレイクを狙える選手だ。今季、規定打席に到達した中島大輔外野手(龍谷大平安-青山学院大)は俊足ヒッターだが、平川はスラッガー枠として育てるのではないか。

 中位〜下位では仙台育英の147キロ左腕・吉川陽大投手、スラッガーの高田庵冬内野手と大化けしそうな逸材がいる。

 捕手上位指名がない場合、中位〜下位で捕手指名の可能性は高い。東北地区では学法石川の大栄 利哉、全国では夏に高打率を残した豊橋中央・松井蓮太郎、U-18代表で評価を高めた明徳義塾・藤森 海斗らが候補か。特に藤森は複数ポジションを守れ、現場の評価は上がっている。

【楽天の今季成績】

67勝74敗 2分

支配下人数 66名