<令和7年度 秋季東京都高等学校野球大会:日大三9―3大森学園>◇12日◇1回戦◇スリーボンドベースボールパーク上柚木 …
<令和7年度 秋季東京都高等学校野球大会:日大三9―3大森学園>◇12日◇1回戦◇スリーボンドベースボールパーク上柚木
夏の甲子園大会で上位に勝ち進んだチームは、新チーム結成が遅れるので、秋の序盤は厳しい戦いになることが多い。日大三は甲子園で4強になった7年前は、秋季都大会の1回戦で目白研心に敗れ、2011年に全国制覇した時は、1次予選で敗れている。
昨年から夏の東西東京大会で優勝したチームは、秋の1次予選は免除になっているので、秋季都大会の1回戦は、日大三にとっては新チームの公式戦の最初の試合になる。
「緊張するのは仕方がないけど、緊張しっぱなしでは」と日大三の三木 有造監督が言うように、立ち上がりは重さを感じた。
1回裏に1点を先制したものの、2回裏は二死二、三塁のチャンスで2番・福井 理仁外野手(1年)は遊ゴロに倒れ追加点を挙げられない。
すると3回表大森学園は安打を連ね、3番・丸本 崇斗内野手(2年)の二塁打などで2点を入れて逆転する。
このまま大森学園のペースになると、日大三は過去のケースの再現になりかねないところであった。しかしこの秋の日大三には新主将になった田中 諒内野手(2年)がいる。3回裏の先頭打者の田中は、甲子園で2本の本塁打を放ち、全国的に強打が知られているだけに、大森学園の先発・鈴木 圭人(2年)も簡単には勝負をしない。3ボール1ストライクからの5球目、やや甘いコースに入った球を、田中は見逃さない。「バットの先っぽに当たりました」と田中が言う打球は、やや詰まった感じがした。それでも外野手の頭を越えるかと思った打球は意外に伸びて、そのまま左中間の外野スタンドに入る本塁打になった。「うまく体重を乗せることができました」と言う田中の、高校通算25本目の本塁打になった。
日大三の先発・根本 智希(2年)は、序盤は苦しい投球が続き、4回表も1点を失う。それでも日大三s打線はすっかり本来の調子を取り戻していた。4回裏は一死満塁で2番の福井を迎える。「前の打席でチャンスで打てなったから、自分で打って還そうと思いました」と福井。アウトコース気味の球を逆らわずにレフト方向に打つと、レフトの頭を越える三塁打になり満塁の走者が生還し、日大三は逆転した。福井は1年生でただ1人、甲子園のメンバーに選ばれている。それだけに「貴重な経験をさせてもらい、(チャンスでも)気後れすることはありませんでした」と語る。
さらに一死三塁で、3番・田中が逆らわずに右前安打を放ち、1点を追加した。「あそこはチームバッティングです」と田中は言う。田中は大きい当たりだけでなく、うまさもある。続く4番・宇田津 徳志外野手(2年)の二塁打で、「走るのは苦手です」と言う田中は、一塁から一気に生還した。さらに猛攻が続き、この回日大三は7点を入れた。
日大三の先発・根本は、5回以降はスライダーを多くするなど、配球を変えて調子を取り戻し、日大三が9-3で大森学園を破り、初戦を突破した。
一つ間違えると、苦戦になりかねない緊張の初戦だったが、一発の威力をみせつける試合になった。新主将の田中は、見た目が漫画「天才バカボン」のバカボンに似ていることから、おっとりした印象があるが、「結構勝気です」と三木監督は言う。初戦を突破した日大三は18日に2回戦で片倉と対戦する。