堂々たる投球を繰り返し、登板毎に声価が上がっている佐々木(C)Getty Images試行錯誤の末に着手した投球フォーム…

堂々たる投球を繰り返し、登板毎に声価が上がっている佐々木(C)Getty Images

試行錯誤の末に着手した投球フォームの微修正

 短期間で評価はガラリと変わった。目下開催中のメジャーリーグのポストシーズンで異彩を放つ佐々木朗希(ドジャース)のそれだ。

 躓きとともに始まった1年だった。今季にドジャースへと鳴り物入りで入団した「令和の怪物」だが、大規模な争奪戦も繰り広げられた男の評価は春先に急降下。平均94.3マイル(約151.7キロ)にまで落ちた球速低下に悩んだ5月には「右肩のインピンジメント症候群」が発覚。マイナーでの試行錯誤を繰り返す中でロバーツ監督からも「投手としてより成功するにはどうすればいいのかを考える必要がある」と“実力不足”を指摘された。

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 だが、肩の故障も癒えた夏場に、球団のピッチング・ディレクターを務めるロブ・ヒル氏と投球フォームの微修正に着手。いわば「投球のプロフェッショナル」と根本的な課題を炙り出したことで、グラウンド上での成果も向上し、球質も平均100マイル(160.9キロ)を超えるまでに改善した。

 そして迎えた今ポストシーズンで中継ぎに配置された佐々木は、4シームとスプリットの2球種で打者を圧倒。ここまで4登板で、防御率0.00、WHIP0.19と圧巻の支配力を発揮。チームが2年連続でのリーグ優勝決定シリーズ進出を決めた今月9日の試合では、8回から計3イニングを投げ、無安打、無失点、無死四球、2奪三振の“パーフェクトピッチ”を披露した。

 ポストシーズンの幕開けを前に、タナー・スコットやカービィ・イェーツなど故障者が相次ぎ、中継ぎの編成に苦心していたドジャースで異彩を放つ佐々木。いまや守護神としても起用される23歳には、現地識者たちの見方も変化している。

 米メディア『Jomboy Media』のYouTubeチャンネルである「JM Baseball」に出演した元ツインズのトレバー・プルーフ氏は「レギュラーシーズンが終わったぐらいに、誰もが話していたのは、ドジャースのブルペンをどうするかってことだった。俺はオオタニを中継ぎにするかどうかも話していたぐらいだ」と回想。その上で「ササキが期待に応え、信じられない働きをしている」と強調した。

「もうササキは十分に証明した」

 また、「あの夜、フィリーズはきっとこう思っていた。『早く降板してくれ。もう俺たちは何もできないぞ』ってね。ササキは一夜にして問題を解決したんだ」と訴える番組ホストを務めるクリス・ローズ氏から「これからもササキは複数イニングを投げると思うかい?」と問われたプルーフ氏は、「たぶん、もっときつい場面、なんとかピンチを切り抜けたい場面で投入されていくと思う」と指摘。そして、今の佐々木の価値を次のように断言している。

「もうササキは十分に証明した。ブルペンから試合に行くことにも大きな自信を持っているように見える。登板までの流れも少しは楽に感じているはずだよ。とにかくドジャースは重要な駒を見つけたね。勝ちパターンを担う投手がハイプレッシャーの局面で3イニングも投げられるなんて、ポストシーズンで究極の武器だろ」

 さらに「正直に言えば、今季に見た中で一番衝撃的な出来事だったかもしれない」と強調するプルーフ氏は、こうも論じている。

「もっとちゃんとこのことを議論すべきかもしれない。今のササキのパフォーマンスがどれほど凄いのかってね。彼がドジャースに入った時には、日本での数字や成績を見て、誰もが『当たり前に活躍する』と決めつけていた。だけど、彼も人間だ。簡単じゃない奇妙な1年を過ごした。それでも1年で最も重圧のかかる中で、新しい役割を完璧にこなしている。この事実はもっと話題にすべきだ」

 チーム内で信頼される“鉄壁リリーバー”として声価を高めるまでに変貌を遂げた佐々木。その存在はドジャースの快進撃に、小さくない影響を及ぼしていると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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