打席で名前がコールされるたびに、球場は盛り上がりを見せた。 滋賀県で開催された国民スポーツ大会(国スポ)高校野球競技(…

 打席で名前がコールされるたびに、球場は盛り上がりを見せた。

 滋賀県で開催された国民スポーツ大会(国スポ)高校野球競技(硬式)。県岐阜商の横山温大(はると)(3年)の人気は甲子園と変わらなかった。

 「ここまで高校野球をやらせてもらったことに感謝して、一つ一つのプレーを大切にかみしめながらやっていました」

 今夏の全国選手権大会で最も注目を集めた一人と言っていい。

 生まれつき左手の指が欠損しているハンデを乗り越え、強豪・県岐阜商でスタメンを勝ち取った。甲子園では勝負強い打撃を発揮し、外野手としても好プレーを見せた。全国4強入りに大きく貢献した。

 30日の国スポ準決勝は、同じく全国4強の山梨学院と対戦。8点を追う最終回の七回無死一、二塁で打席が回ってきた。

 この大会は安打が出ていなかった。2ストライクに追い込まれたが、「思い切って振ろう」と低めの変化球をすくい上げた。打球は右中間を破り、2点を返す意地の一打になった。

 横山は二塁を蹴って、三塁にヘッドスライディングしたが、タッチアウトに。味方ベンチは「おーい!」と頭を抱えたが、泥だらけになった横山を笑顔で迎えた。観客からは大きな拍手が送られ、横山はヘルメットを取ってスタンドに頭を下げた。

 「いけるかなと思ったんですけど、中継プレーがすごく速くて、最後は足がもつれた」と苦笑い。大歓声について「甲子園もあんな感じだったなって思い出しました」。

 高校最後の打席で適時打を放ち、有終の美を飾った。大学でも野球を続ける。

 「悔いはなく、力いっぱい自分の力が出せた。甲子園でベスト4に入って国体にも出られて、最高の舞台にたくさん立たせてもらった。周りの人に感謝しきれない」

 最後まで「感謝」という言葉を繰り返した。(室田賢)