プロ野球も残すところわずかとなり、ポストシーズンやストーブリーグに向けた動きが出始めるころだ。10月23日に行われるプロ…
プロ野球も残すところわずかとなり、ポストシーズンやストーブリーグに向けた動きが出始めるころだ。10月23日に行われるプロ野球ドラフトまで約3週間。各球団の動向も連日報じられるようになってきた。
今年は高校生の有望選手がのきなみ大学進学、また社会人へと進むことが決まっており、大学生・社会人を中心としたドラフトが予想される。そんな状況で、際立つのはスラッガータイプの強打者が多い点だ。NPBでは「投高打低」が加速しており、高校生も含めて能力の高い野手が乱立しているため、各球団上位で野手を指名が多くなることが予想される。
中心は今秋ドラフトの目玉でもある創価大・立石 正広内野手(高川学園)だ。昨秋は神宮大会では逆方向に一発を放つなど、下級生の頃から世代No.1スラッガーとして注目を集めてきた。今秋リーグ戦は8月に負った右足じん帯の怪我により出場を回避していたが、28日は復帰後初本塁打を含む3安打の活躍と完全復活をアピールしている。
立石のみならず大学生は東京六大学リーグで通算11本のパワーに軽快な守備も持ち合わせる法政大・松下 歩叶内野手(桐蔭学園)、東都大学リーグで3度のベストナイン、今春は本塁打と打点の2冠を獲得した青山学院大の小田 康一郎内野手(中京)、同じく東都大学リーグ戦で2季連続首位打者に輝いた日本大・谷端 将伍内野手(星稜)ら、両コーナーにドラフト1位候補が名を連ねる。さらには2008年に日本ハムから指名を受けた大野 奨太氏以来、17年ぶりに大学生捕手の1位指名が期待される明治大の小島 大河捕手(東海大相模)、日米大学野球首位打者の中京大・秋山 俊外野手(仙台育英)に広角に打ちわける打撃が武器の平川 蓮外野手(札幌国際情報)と、各ポジションに強打の選手が揃う状態だ。
他にも今春の六大学リーグ戦で三冠王を獲得した山形 球道外野手(興南)をはじめ、大学日本代表以外にも圧倒的なパワーを誇る大阪学院大のエドポロ・ケイン(日本航空)らが既にプロ志望届を提出しており、ドラフトでも大学生野手が上位をしめる可能性も十分に考えられる。
高校・社会人にもスラッガーの目玉が?
注目選手が少なく「不作」といった意見も散見される今年の高校生。しかしながら、低反発バットを苦にしないロマン砲が続々とプロ志望届を提出している。その筆頭は櫻井 ユウヤ内野手(昌平)と藤井 健翔内野手(浦和学院)の2人だ。櫻井は高校通算49本塁打のパワーを秘め、高校最後の試合となった埼玉大会決勝でも左中間最深部に放り込んでいる。今夏の埼玉大会は20打数10安打11打点と猛烈なアピールし、高卒野手の少ない現状からドラフト上位で狙う球団があってもおかしくない。また藤井も"和製ジャッジ"と称される長打力を武器に高校通算38本まで積み上げた。春以降は逆方向への長打も増え、全国屈指の強打を誇った浦和学院打線で4番を張った。今夏は3回戦で敗れたが、初戦で3安打を放ち「得点圏打率を意識している」と勝負強さを発揮していた。
U18日本代表では今岡 拓夢内野手(神村学園)が、U18ワールドカップでチーム唯一の本塁打を放った。同校で指揮を執る小田 大介監督が「神村学園史上ナンバーワンのショート」と絶賛するなど、高校生遊撃手の中ではトップクラスの逸材と言っていい。他にも同じくU18日本代表で高校No.1捕手の呼び声高い大栄 利哉捕手(学法石川)、また185センチ91キロの恵まれた体格を誇る池田 栞太捕手(関根学園)など強肩強打の捕手は注目される。今夏栃木大会で1試合で2発を放ったエミール・セラーノ・プレンサ外野手(幸福の科学学園)の高校生離れした長打力にも期待がかかる。
学生のみならず、社会人野球にも持ち前のパワーでルーキー時代から活躍してきたJR東日本の髙橋 隆慶内野手(明秀日立ー中央大)やENEOSの村上 裕一郎外野手(宇和島東―九州共立大)といった注目のスラッガーもいる。また独立リーグにも石川ミリオンスターズで前期MVPを獲得した瀧野 真仁(中京―愛知学院大学ー富山GRNサンダーバーズ)、また同じく石川の大坪 梓恩外野手(屋久島おおぞらー日本プロスポーツ専門学校)が21歳ながら、日本海リーグで前後期合わせて8本塁打を記録している。12年連続ドラフト指名を達成している四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスの笹浪 竜外野手(函館大柏稜-東北福祉大)は打率.376、8本塁打、51打点と好成績を残し、悲願のNPB入りを待つ。
各カテゴリーにパワーヒッターが集中している今年のドラフト。セ・リーグのDH制導入、岡本 和真内野手(智弁学園)、村上 宗隆内野手(九州学院)にメジャー移籍の可能性も相まって、野手の指名に注目が集まっている。