国民スポーツ大会(国スポ)の高校野球競技(硬式)が29日、滋賀・マイネットスタジアム皇子山で開幕し、公式戦で初めて7イ…

 国民スポーツ大会(国スポ)の高校野球競技(硬式)が29日、滋賀・マイネットスタジアム皇子山で開幕し、公式戦で初めて7イニング制が導入された。

 実際に体験した監督や選手からは、様々な意見が出た。

 第1試合は山梨学院が尽誠学園(香川)に4―0で勝利した。試合時間は1時間29分。

 山梨学院の吉田洸二監督は「そのときのチームの状態で長く感じたり、短く感じたりする」と話した。

 2日前に秋季県大会の決勝を9イニングで戦った。2年生の主力は疲労が残っていたため、「今日に関してはやりやすかった」。

 本来は4番打者の菰田陽生(2年)を、この日は2番で起用。「1回でも多く打たせたい意識はあった。三者凡退で前半を終えると、下手したら5番以降の打席が減る可能性もある。良い打者を上(の打順)にいこうと」

 また「明らかに先攻が有利」という感触も感じたという。

 この日は先攻。四回に2点を先制したことで「きょうは投手がいないけど、もしかしたら七回までだったら逃げ切れるんじゃないか」という心理になったそうだ。

 「先に点を取ることがすごく優位に働く。(取られた側は)七回までしかないというプレッシャーがかかる」

 今夏の全国選手権で初優勝した沖縄尚学は、試合序盤から積極的に盗塁を狙った。

 比嘉公也監督は先制点にこだわったが、県岐阜商に1―5で敗戦した。「いけるかなと思ったんですけど、全部アウトになった」と苦笑いした。

 2年前まで高校日本代表の投手コーチとして、7イニング制が採用されている国際大会を経験した。

 「短いイニングになるということは最初からガンと(出力を高く)いくということ。逆に負担が大きくなるのが出てくるのは怖い」と懸念した。

 一方で、「公立校に良い投手がいれば十分、上に勝ち上がっていける。トータルで考えると、大会自体はおもしろくなるのでは」と語った。

 「選手だけのことを考えると出場機会が減るのはマイナスだけど、大会役員とか審判を考えての議論だと思う。僕らとしては決められた中でやっていきたい」

 2022年に東北勢で初めて全国制覇を果たした仙台育英の須江航監督は「特に違和感はない」と話した。7イニング制を採用している中学野球での指導経験が長いからだ。

 「もちろん七~九回にドラマはあるんですけど、七回になっても別のドラマはあるんですよ」

 その上で、「子どもたちがどう感じているか聞いてもらいたい」と述べた。

 7イニング制の導入に絡み、日本高校野球連盟は加盟校や一般向けのアンケートを実施したが、「もう一つ踏み込んで、子どもたちの意見を聞いて頂けたら一番良い形になるんじゃないかな」と須江監督は言う。

 「例えば公立や人数が9人そろっていない連合チーム、うちみたいな私学や公立の進学校、いろんなところをみんなが補完できたらいい」

 日々、選手たちと触れあうなかで、「野球が好きなので1秒でも長くやりたい」という思いを感じている。全国優勝時のインタビューでは「青春って、すごく密なので」というフレーズが話題になった。

 「1回でも打席に立ちたい、1イニングでも投げたい、一人でも多くの選手が(試合に)出たい。その好きな気持ちをどう考えるか。でも、安全に勝るものはないです。繰り返しますけど、試せばいい。ちょっと違うなと思えば戻せばいいと僕は思う」

 では、選手たちはどう感じたか。

 同じ感想は「あっという間だった」ということだ。

 今夏の全国選手権で準優勝した日大三の4番打者の田中諒(2年)は「プロ野球もそうだし、9イニングをやってこその野球」とし、主将の本間律輝(3年)も「9イニングで野球をしたい。野球は打ったり点数が入ったりして盛り上がるスポーツだと思うので、それが少なくなるのは残念」と語った。

 山梨学院の菰田も「9イニングがいい」。ただ、「きょうは涼しかったけど、もし夏になれば、やっぱり7イニングがいいのかなという思いが出てくるかも」と付け加えた。

 山梨学院の横山悠(3年)は、9月上旬に開催された7イニング制のU18(18以下)ワールドカップを高校日本代表の一員として戦った。7イニング制は「慣れましたけど、早すぎる」と笑う。

 「個人的にはもう1打席を打ちたいという気持ちもあるけど、連戦を考えたら7イニング制かな。9イニング制は本当に長い。だけど、甲子園で9イニングを戦えたのは良かった」。メリットとデメリットの両方を熟知しているだけに、どちらとも言えない様子だった。

 日本高校野球連盟は昨年12月、7イニング制導入の可否について検討する会議を設置し、今年12月までに対応策をまとめる方針を示している。国スポを終え、出場校や大会運営にあたる関係者から意見を集めて、今後の議論の参考にする。

 ほかの選手、監督の意見は以下の通り。

 尽誠学園・広瀬賢汰(3年) 「もう少しやりたかった。すごく短くて、あと1、2イニングでも仲間と野球をやりたかった」

 尽誠学園・西村太監督 「思ったより短い。五回終わりのグラウンド整備後、あと2イニングしかない。やっぱり9イニングがしっくり来る」

 県岐阜商・柴田蒼亮(2年) 「メリットは体の負担や球数が少なくなる。デメリットは九回の粘りの攻撃ができない」

 県岐阜商・藤井潤作監督 「やはり野球は9イニングなんじゃないかな。記録が変わることも心配。ローカル大会は7イニングで、全国大会は9イニングにならないか」

 沖縄尚学・真喜志拓斗 「自分としてはまだまだいけるし、ちょっと物足りない部分もあるけど、投手は球数が減って疲労を軽減できるって考えたら良い方針なのかな」

 日大三・三木有造監督 「一回を終わって、もうあと6イニングか、となる。自分は申し訳ないけど9イニング(に賛成)」

 高川学園・松本祐一郎監督 「アルプスの応援団の熱中症対策などもあるが、選手たちが望んでいるのかどうか。9イニングに慣れすぎているので、戸惑いはあったが、まだ良い悪いは言えない」

 高川学園・遠矢文太 「7イニング制は1点が重く、そういう緊張感は自分は心地よかったし、9イニングでは味わえない。ただ正直、その緊張感があって9イニングと変わらないくらいしんどいです」

 綾羽・千代純平監督 「野球は(試合の)半分は休めるから選手は全然問題ないと思う。ただ運営や観客の問題を含めてのことだと思う。7イニング制は反対だけど、その反対に加える意見は作らないといけない」

 綾羽・北川陽聖 「早かった。9イニングの方がいい。自分たちは終盤で逆転できるのがチームカラーだったので、それが消えてしまう」(室田賢)