■小宮山監督「いろいろ思い出すことがあったのでしょう」と推察“仙台育英同級生対決”が勝敗を分けた。東京六大学野球秋季リー…

■小宮山監督「いろいろ思い出すことがあったのでしょう」と推察

“仙台育英同級生対決”が勝敗を分けた。東京六大学野球秋季リーグは28日、史上最多タイの4季連続優勝を目指す早大が立大2回戦に8-4で勝ち、1勝1敗のタイとして3回戦に持ち込んだ。

 立大先勝で迎えた2回戦。勝負のポイントは、早大が4-3とリードして迎えた4回の攻撃だった。2死一、二塁の好機に、3回から2番手として登板していた髙橋煌稀(こうき)投手(2年)が右打席に立つ。マウンドには、立大2番手の左腕・田中優飛(ゆうと)投手(2年)がいた。

 髙橋煌と田中は仙台育英高時代の同級生。3年生の春の選抜大会では8強入り、同年の夏の甲子園では準優勝を成し遂げた。最後の夏には髙橋煌がエースナンバー「1」、田中が「11」を背負った。初の“直接対決”に、髙橋煌は「まさか2年生で対決できるとは思っていなかったです。率直に楽しかったですし、うれしい気持ちもありました」と明かした。

 こういう時はピッチャーの方が投げにくいものだ。ボールが先行しカウントは3-1に。この時、2人の目が合った。早大・小宮山悟監督は「マウンドとバッターボックスで、お互いに笑っていましたよ。なぜ笑顔になったのかはわからないけれど、(田中が)マウンドでにたっと笑い、煌稀もバッターボックスでにこっと笑った」と証言。「いろいろ思い出すことがあったのでしょう。(仙台育英高の)須江(航監督)さんから『ピッチャーを四球で歩かせるなんて、ふざけたことをするなよ』と言われてきただろうし、よく叱られたな、とか、そういうことがパッと2人の頭の中を走った時の笑顔でしょう」と推察した。

「打てそうな雰囲気はありました」と小宮山監督がほくそ笑んだ通り、ストライクを取りにきた真ん中のストレートを、「真っすぐしか来ないだろうと張っていました」と高橋煌が一閃。打球は左翼手の頭上を超え、貴重な2点二塁打となった。

立大2回戦「投打」で活躍した早大•髙橋煌稀【写真:加治屋友輝】

■「最終的に4回の2点が痛かった」と敵将が嘆いた一打

 小宮山監督は「甘い球を打ち損じなかった。投手にとっても打撃は大事。普段から室内練習場で打たせていますので、結果が出てよかった」とご満悦。逆に田中にとっては痛恨の一撃となり、立大・木村泰雄監督も「最終的に4回の2点が痛かった」と嘆いた。

 髙橋煌は“本職”のピッチングでも奮闘した。今月14日の東大2回戦でリーグ戦初先発し、5回1失点(自責点0)の好投。この日は先発こそ宮城誇南投手(3年)に譲ったが、3回から8回まで6イニングのロングリリーフ。6回1死走者なしでは、田中に二塁内野安打で“やり返される”シーンがあり、「打たれたくなかったのですが、当てられちゃったので、まだまだです」と苦笑したが、安定感のある投球で2失点にまとめた。

 早大では今春、主に2回戦の先発を任されている。7月の日米大学野球選手権大会で侍ジャパン大学代表入りした宮城が開幕前から調子を崩しており、同級生対決を制した高橋煌が取って代わる勢い。4連覇の鍵を握る存在となりそうだ。