今季、Bクラスに終わった広島。ファンからは厳しい声もあがっています。ただ、選手1人1人を見ると、若手選手が多く出ており、…
今季、Bクラスに終わった広島。ファンからは厳しい声もあがっています。ただ、選手1人1人を見ると、若手選手が多く出ており、来季以降楽しみなチームに映りました。今回は投打ともに楽しみな選手を紹介し、アマチュア時代に取材した思い出を振り返っていければと思います。
驚きの成長を見せた菊地ハルン
投手ではまず高卒1年目の菊地 ハルン投手(千葉学芸)をピックアップしたいと思います。200センチの剛腕として注目されていますが、高校1年時は120キロ中盤でどちらかというとカーブピッチャーでした。「3カ年計画で育てます」と千葉学芸の高倉監督は当時語っていましたが、期待通り、高校3年夏には140キロ台後半の速球、スライダー、カーブ、フォークを操るパワーピッチャーに成長しました。夏の大会が終わってからもさらに成長を見せたことが評価され、広島から5位指名を受けました。
菊地投手は二軍でも好投を重ね、9月23日に一軍昇格。筆者のもとには高倉監督から「ハルンが一軍上がったんですよ!」と声を弾ませながら連絡をいただきました。
高倉監督によると、昇格したその日の午前中に本人と担当の尾形佳紀スカウトから連絡があったそうです。昇格した23日の巨人戦で1イニングを三者凡退に抑え、さらに26日のヤクルト戦でも1回無失点の投球。強打者・村上 宗隆内野手(九州学院)をニゴロに打ち取りました。ストレートは最速を更新する150キロ、常時140キロ台後半を出しており、高校時代から大きくレベルアップしています。
2試合連続無失点の好投でますます評価が高まる菊地投手。高倉監督は「嬉しい限りです。好投した翌日も尾形スカウトから連絡をいただいております」と明かしました。
1年目の一軍デビューは球団内部でも驚きの成長だったようです。ここ2試合の好投で、カープファンからの期待の声が大きくなっています。2年目は一軍で先発機会を与えられるまで進化できるか注目です。
また、高卒3年目の辻 大雅投手(二松学舎大付)も好投しています。今季から一軍に昇格し、14試合で18奪三振・防御率1.29の成績を残しています。ストレートの球速は大きく上がり、常時140キロ台後半の速球を投げられるまでになりました。
高校時代はフォームの土台が良く、130キロ台後半ながら球質の良さとキレの良いカーブが特徴の大型左腕でした。ただ球速不足なところがネックになり、育成スタートとなりましたが、うまく伸びれば楽しみだと感じていました。今年就任した野村祐輔二軍投手コーチの指導が一気にハマり、最速150キロまで伸びました。
遅咲きながら潜在能力を発揮しつつある高卒の野手たち
野手では有望株の筆頭である小園 海斗選手(報徳学園)が首位打者、最多安打を獲得しそうです。まだ25歳とこれから全盛期を迎えるのではないでしょうか。小園選手以外の多くの若手野手も出ています。
今年は中村 奨成内野手(広陵)がブレイクし、自己最多の9本塁打を記録しています。100試合出場も突破し、91安打と残り4試合で100安打到達はなかなか厳しいですが、それでも1年通して出場してOPS.754は優秀な数字です。
2017年夏の甲子園で大会新記録となる6本塁打を放ち、U-18代表へ。ワールドカップでは25打数3安打に終わりましたが、打撃練習では、木製バットながらヘッドが走ったスイングで本塁打性の打球を連発しており、やはり逸材だと感じました。
一軍で1年通して活躍するまで8年かかりましたが、我慢した甲斐があったのではないでしょうか。来季以降、カープの主軸打者として活躍するきっかけを作ることができました。
昨年のドラフト1位・佐々木 泰内野手(県岐阜商)は51試合に出場し、打率.278、6打点を記録しています。怪我もありましたが、打席内のスイングを見ると、潜在能力の高さが伝わります。高校時代から高卒プロを狙える選手だと周囲から評価されていましたが、県岐阜商時代の恩師・鍛治舎巧前監督は佐々木選手に大学進学を勧めています。高卒プロは技術的に時期尚早と見ていたからです。
「練習から木製バットを使っていましたが、実戦で使っているわけではありません。まして、最後の1年は公式戦ゼロ。甲子園の交流試合でホームランを打ち、通算40本以上ホームランを打ってはいますが、真剣なせめぎ合いが出来ていません。練習と応用(試合)は違うし、応用技術が試される大学野球に進んで、実力をつけたほうがいいと思っていました」(鍛治舎前監督)
4年間でドラフト1位に選ばれる選手へ成長し、1年目から51試合に出場して、175打席も経験しながらも打率2割8分に近い数字を残しており、順調に成長しています。
大卒2年目以降、飛躍的に数字を伸ばすことができるか注目です。
広島は育成野手をうまく育てているのも印象的です。強肩の内野手に成長した二俣 翔一内野手(磐田東)は今季54試合で3本塁打を記録しました。昨年の80試合出場よりも出場機会は落としているものの、打席数130は昨年の122より上で、チャンスは与えられています。そんな二俣選手は高校時代以来の捕手に挑戦すると報じられています。ドラフト前に取材した時はキャッチング、スローイングをかなり研究している様子が見られました。
育成から這い上がって一軍での出場数も増えました。もし強肩巧打の捕手として出場機会を増やすことができれば、二俣選手の価値はまた上がると思います。まだまだ高卒5年目。6年目となる来年は100試合出場を期待したいと思います。
そして前川誠太内野手(敦賀気比)も期待の好打の内野手です。昨年は二軍64試合で打率.277とコンタクト力の高さをアピールしており、広島ファンの間で支配下にあげてほしいとの声が多かった選手です。今年も二軍で71試合で打率.279とコンタクト力の高さは健在。さらに二塁の守備力も高いものがあり、攻守にレベルアップした姿をアピールした前川選手は7月下旬に支配下登録となり、26試合で49打数10安打、打率.204を記録しました。
二軍ほどの打率ではありませんが、簡単にアウトにならないしぶとさがあり、守備では二塁だけではなく、三塁、一塁、遊撃を守り、ユーティリティぶりを発揮しています。シーズン終盤で見せたシュアな打撃、ハツラツとした守備を来年も発揮できれば、一気にレギュラーを奪う存在になるかもしれません。
ほかにも、若手スラッガー・林晃汰内野手(智弁和歌山)、プロ初安打を放った高卒3年目の清水叶人捕手(健大高崎)、同じく高卒3年目・内田 湘大内野手(利根商)と楽しみな若手が出てきています。
現在の広島は世代交代の過渡期。26年の広島は後半戦に出場した若手選手たちをメインに育てる年になるのではないかと見ています。1人前になるまで時間はかかると思いますが、ブレイクする若手が増えれば、再び優勝争いに加わるチームになると見ています。