第78回秋季関東地区高校野球山梨県大会(県高校野球連盟主催)は27日、甲府市の山日YBS球場で決勝と3位決定戦があった…

 第78回秋季関東地区高校野球山梨県大会(県高校野球連盟主催)は27日、甲府市の山日YBS球場で決勝と3位決定戦があった。決勝では山梨学院が甲府工を6―2で破り、5年連続12回目の優勝を飾った。3位決定戦では駿台甲府が日本航空に3―1で逆転勝ちし、3年ぶり4回目の関東大会出場を決めた。県大会の上位3チームが出場する関東大会は10月18日から、山梨県で開かれる。

 今夏の甲子園で右腕を痛めた菰田陽生(はるき)(2年)が、秋季県大会でマウンドに戻って来ることはなかった。準決勝に勝った後、決勝での菰田登板の可能性を示唆していた吉田洸二監督だったが、「体のコンディションは良いが、試合で投げる(質の)ボールが投げられない」と登板を回避した。

 しかし、菰田はマウンドには立てなくても、主将、4番打者、一塁手として存在感を発揮し、新チームを優勝に導いた。

 菰田が「史上最高の主将。少しでも近づきたい」と尊敬を隠さない梅村団・前主将から「お前ならやれる」と背中を押され、主将としての自覚を深めた。守備のミスもあってピンチを迎えると、自分が投手の時に梅村からかけられた言葉も参考に、「しっかり切り替えていこう」と仲間を鼓舞し、失点を最少にとどめた。

 打者としては、長打こそなかったものの、2ストライクを取られると自らの判断でバントの構えをしてから打つ「バスター」で確実性を高めるなどの工夫をし、2単打1犠飛と渋い活躍。

 「自分でもうまくなっていると思う」という守備では、七回表2死二、三塁のピンチで、ヒット性の一塁ゴロを巧みにさばいて失点を防いだ。

 この優勝で、関東大会では1回勝てば来春の選抜大会出場が確実な4強に進出できる、有利な組み合わせの位置を獲得した。

 菰田は主将として「関東大会までの3週間、しっかり準備したい」と気を引き締めた。「良い感じで投げられるようになってきている」と話す自らの投球の準備も整えば、この日の決勝で「この大会一番の出来で、粘りのピッチングを見せてくれた」と吉田監督が高く評価した檜垣瑠輝斗(るきと)(2年)とともに投の二枚看板がそろい、選抜出場を懸けた試合でも有利な展開が期待できそうだ。(三宅範和)

     ◇

 背番号「1」対決となった決勝。甲府工エースの山下直太郎(2年)は、最速144キロの直球にスライダーなどの変化球を織り交ぜ、7回で111球を投じた。被安打12で6失点と悔しい結果となったが、失策0の野手陣にもり立ててもらいながら、最後まで粘りの投球をみせた。

 4失点した三回。勝ちたい気持ちが前に出て球が上ずってしまい、連打を浴びた。その後「課題にしてきた低め低めを改めて」と気持ちを入れ替え、四回以降は2失点でしのいだ。

 同じ背番号「1」で、今夏の甲子園準決勝のマウンドに立った相手の檜垣瑠輝斗は同学年として意識していた。準決勝はチームメートとテレビで見ていて「切れ目ない打線に圧倒された。何より、同学年の菰田投手と檜垣投手に負けたくない」と思いを強くした。

 入学時の72キロの体重は体力作りの結果、84キロになった。夕食の白飯は、毎日1キロ近く平らげるという。体力が向上したとはいえ、今大会の準決勝を1失点で完投し、迎えた決勝。少し疲れが残っていたといい、選抜大会の切符がかかる関東大会に向けて「スタミナをつけて勝って、甲子園に行く」と意気込んだ。(棟形祐水)

     ◇

 1点を追う八回。駿台甲府・三木諒人監督の「必ずつなげてくれる信頼できる選手」という言葉通り、6番藤田琉維(るい)(2年)が初球狙いの勝ち越し打を放ち、選抜大会への挑戦権が得られる関東大会進出を決めた。

 相手先発のエース右腕野畑直裕(2年)から、チームが6回までに放ったのは1安打のみ。藤田も「直球が速くて重かった」と打ちあぐねていたが、目が慣れてきた七回にチーム初長打となる右への二塁打を放つ。

 迎えた八回、打線が一気に活性化する。先頭から2連打を放つなどし、内野安打で同点。野畑をマウンドから引きずり下ろした。四球を挟んで藤田が打席へ。2番手左腕との対決となったが、迷いはなかった。三木監督からの「左打者の藤田に対しては慎重に変化球から入るはず。そこを狙うぞ」という指示通り、投じられたのは内角低めのスライダー。強振。白球が右翼に転がる。一塁上でガッツポーズした。

 相手の戦術を読む練習は、夏の山梨大会後にチームで取り組んできた。紅白戦などの実戦形式の練習で冷静に考えながらプレーすることが身についたという。

 山梨大会でもレギュラーで二塁を守ったが、甲子園出場はかなわなかった。もっと体力をつけようと「食トレ」に励み、体重を2キロ増やした。寮でほぼ毎日、好物のパスタを夜食で食べている。

 同校悲願の甲子園出場がかかる関東大会。「甲子園に行けなかった先輩の分まで頑張りたい」。夏より少し大きくなった体で、活躍を誓った。(棟形祐水)