自分の出来が、そのままチームのパフォーマンスに直結する。重責を担う。 11月4日に横浜・日産スタジアムでオーストラリア代表とテストマッチを戦う日本代表。その試合で10番に指名されたのが松田力也だ。今年5月のアジアラグビーチャンピオンシップ…

 自分の出来が、そのままチームのパフォーマンスに直結する。重責を担う。
 11月4日に横浜・日産スタジアムでオーストラリア代表とテストマッチを戦う日本代表。その試合で10番に指名されたのが松田力也だ。今年5月のアジアラグビーチャンピオンシップの香港戦(秩父宮)では先発SOとしてピッチに立つも、9キャップのうち10番を背負ったのはそのときだけ。今回は、相手が相手だけにビッグチャレンジとなる。

 11月3日、同スタジアムでの試合前日練習を終えた松田は、「いいチャンスをもらえて嬉しい」と言った。不安はない。
「(トップリーグの試合で同じパナソニックのSOベリック)バーンズのプレーを見てきたので、いいイメージは頭の中にあります。攻撃で仕掛けるところ、はやくボールを放して動かすところと、いい判断をしてチームが勝つようにしたいですね」
 リーチ マイケル主将は、この試合での留意点を「キックをうまく使って無理なプレーをしないこと」と言った。司令塔の手綱さばきが重要だ。

 ワラビーズに強みを出させてはいけない。世界ランキング3位だ。
「ボールキャリーに力のある選手たちがたくさんいます。だから受けたらだめ。いいデイフェンスからチャンスをつかまないとけない」
 SOはCTBより冷静さが必要と分かっている。ゲームコントロールが最大のミッションだ。
「様子を見ながらになりますが、落ち着いてゲームをすすめ、(自分たちの志す)アンストラクチャーの流れに持ち込めるようにしたい」
 自分がパニックになるとゲームもチームも崩れるから、練習中から自分をプレッシャーの中に置いてきた。チームがおこなう練習のテンポのはやさも、判断力も鍛えてくれる。明日は、その成果をすべて出し切るつもりだ。

 トイメンのリース・ホッジは、プロフェッショナルとしてのキャリアの中で初めてSOとしてプレーする選手だ。20キャップは、WTBかCTBで積み重ねたもの。マイケル・チェイカ監督は、U20時代に彼がSOとしてプレーしていた姿をおぼえていて、今回は司令塔の位置で起用したという。
「もともとはアウトサイドの選手なので、走る力はあるでしょう。しかし、ゲームコントロールは慣れていないはず。しっかりプレッシャーをかけていければ」
 松田は、前に出て勝負をかける気持ちを、その言葉に込めた。
 明日はプレースキッカーも務める。
 勝利のキーマンとしての時間を楽しむ。