■エースがコンディション不良で登板回避、劣勢から打線が奮起 東京六大学野球秋季リーグの第2週が20日に行われ、立大が今季…
■エースがコンディション不良で登板回避、劣勢から打線が奮起
東京六大学野球秋季リーグの第2週が20日に行われ、立大が今季開幕ゲームの法大1回戦に9-6で打ち勝った。立大OBで“ミスタープロ野球”の異名を取った長嶋茂雄氏が6月3日に亡くなってから最初のシーズンだけに、2017年秋以来17季ぶりとなる天皇杯獲得へ、ナインの決意は固い。
前半は劣勢だった。エースの小畠一心投手(4年)がコンデション不良で登板を回避し、先発した竹中勇登投手(4年)が3回に2点の先制を許した。その裏、小林隼翔内野手(2年)の同点2ランで追いついたが、4回に4点を失い、あっという間に突き放されてしまった。
それでも木村泰雄監督は「ピンチでマウンドに集まった時も、選手たちには楽しんでいる雰囲気がありました。後半に必ず追いつけると思っていました」と野手陣の反発力に自信を持っていた。というのも立大は今春、6季ぶりに上位3チーム入り(3位)。チーム打率.284、74得点、14本塁打は全てリーグ2位で、打線が快進撃を支えていた。
この試合でも、2-6とリードされて迎えた5回、無死満塁のチャンスをつくると、内野ゴロと4番・丸山一喜内野手(3年)の2点二塁打で3点を奪い、1点差に迫った。続く6回には、小林隼が右中間を破る同点二塁打、主将の西川侑志内野手(4年)と村本勇海内野手(2年)が連続適時打を放ち、一気に逆転した。
木村監督は「今夏のオープン戦でも、こういう展開がありましたが、その時も終盤に追いついてひっくり返していました。選手たちは自信を持ってやってくれていると思います。本当に頼もしい選手たちです」と目を細めた。相手の法大は先週、慶大との開幕カードで連日壮絶な打ち合いを繰り広げて4回戦まで行い、それから中3日。相手の投手陣が疲弊しているという計算もあった。
今春は6番を打つことが多かった小林隼は、2番に打順を変えて4打数4安打3打点1死球の大暴れ。木村監督に打順組み換えの意図を聞くと「1番が(今春、史上18人目の3冠王に輝いた)山形(球道外野手)で、2番が小林。いいバッターから並べただけです」と至ってシンプルな理由が返ってきた。小林隼に送りバントをさせるつもりはなく「基本的には、打ってつないでもらいたいと思っています」とうなずき、“攻撃型2番”を期待した。

■木村監督が優勝に意欲「ずっと“そこ”を目指してやってきた」
「相手は強力打線の法政さんですから、点を取られるとは思っていました。投手陣はよく頑張って、6点に抑えてくれたと思います」と木村監督。野球で「よく6点に抑えてくれた」とは、あまり聞かないセリフだが、それほど打線に対する信頼度が高いということだろう。
そんな“打高投低”のチームの中でも、3番手で6回から登板した左腕・田中優飛投手(2年)が、3イニングを2安打6奪三振無失点に封じたピッチングは光った。田中は今春、法大2回戦に先発した時も、6回1安打無失点の快投を演じていた。敵将の法大・大島公一監督が「春と同様、田中くんにやられてしまった」と唇をかんだ一方で、田中は「こんなことを言っていいのかどうかわかりませんが……春に対戦した時、(法大打線は)スライダー、カットボールに対応できていなかったので、それを意識して抑えていこうと思っていました」と笑顔を浮かべた。
木村監督は「この夏もずっと“そこ”を目指してやってきました。1試合1試合、大事に戦っていきたいです」と久しぶりの優勝に意欲を見せた。さらに「今月9日には長嶋さんをしのぶ礼拝が大学で行われ、我々も出席しました。長嶋さんも後押ししてくれているという気持ちがありますので、ぜひ、それに応えていきたいと思います」と力を込めた。今後の戦いに向け、期待感は膨らむばかりだ。