今年こそ、凱旋門賞制覇という“日本競馬の悲願”がかなうかもしれない。先週末に行われたプランスドランジュ賞をクロワデュ…
今年こそ、凱旋門賞制覇という“日本競馬の悲願”がかなうかもしれない。先週末に行われたプランスドランジュ賞をクロワデュノールが勝利したほか、ギヨームドルナノ賞をアロヒアリイ、フォワ賞をビザンチンドリームが制覇と、欧州で日本調教馬がつぎつぎに白星を手にしている。愛チャンピオンSを叩いたシンエンペラーこそ6着だったが、来月初めに向けて期待は大きく膨らんだ。
先陣を切って、ギヨームドルナノ賞に挑戦したのはアロヒアリイ(牡3、美浦・田中博康厩舎)だった。弥生賞3着の実績があるとはいえ、デビュー勝ちのみの1勝馬。果敢な挑戦で、どこまで通用するのか未知数ではあった。だが終わってみれば、ゴール前で流す余裕さえ見せて3馬身半差の完勝。同レース3着のクアリフィカー(Cualificar)は続くニエル賞を制しており、5頭立てながらレースレベルも低くなかった。
ビザンチンドリーム(牡4、栗東・坂口智康厩舎)はフォワ賞に出走。今年のレッドシーターフHでひさびさの勝利を飾り、帰国初戦の天皇賞(春)で2着と本格化の兆しを見せていた。道中は内ラチ沿いの5、6番手で脚を溜めたが、タイトな競馬でなかなか前があかず、進路がクリアになったのは残り200mほどの地点。そんな絶望的状況からすばらしい瞬発力を見せ、仏G1・3勝のソジー(Sosie)をゴール寸前でとらえた。まさに着差以上の走りだった。
「さすがダービー馬」と言わしめる貫禄勝ちは、プランスドランジュ賞に挑戦したクロワデュノール(牡3、栗東・斉藤崇史厩舎)。レースはゆったりとした流れだったが、ガッチリ抱えて仕掛けどころをうかがうと、直線では外に持ち出して数頭の追い比べを制した。着差は短アタマ差とわずかながら、雨でタフになった馬場をものともせず、凱旋門賞と同じパリロンシャン競馬場で結果を出したことは高く評価できる。
いっぽう、愛チャンピオンSに挑んだシンエンペラー(牡4、栗東・矢作芳人厩舎)は6着だった。直線で追い出したものの伸びがひと息で、馬のあいだを割っていけなかった。昨年より着順を落とすこととなったが、そこは経験豊富な名門厩舎。本番では状態を上げ、巻き返してくれるだろう。
1969年、スピードシンボリの初挑戦から半世紀以上が過ぎた。99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタ、12年オルフェーヴルと惜しくも敗れた一戦もあった。ついに今年、歓喜の瞬間は訪れるのか。前哨戦の結果に胸を躍らせながら、来月の大舞台を楽しみに待ちたい。
※記事公開後にシンエンペラーの凱旋門賞回避が報じられました。