今回は、アルビレックス新潟のディフェンダーだった新井健二さんと一緒に、彼の古巣である新潟の現状を、8月23日に行われた…
今回は、アルビレックス新潟のディフェンダーだった新井健二さんと一緒に、彼の古巣である新潟の現状を、8月23日に行われた第27節の対鹿島戦と、8月31日に行われた第28節の対浦和戦などから分析していきたい。
■「決定的な場面が5~6回あった」
新井 鹿島との試合は、アルビ(アルビレックス新潟の略称=以下、アルビ)に決定的な場面が5~6回あったんです。それでも決められなかった。いい攻撃から惜しいシュートシーンが何回もあって、逆に試合の最後のほうは鹿島が押されていましたからね。怒涛の攻撃をしていました。
――それでも勝てない新潟は、どうしてなんだろう。
新井 判断ミスが目につきましたね。新加入が多い中で、「俺が決めてやる」と力が入ってしまって判断ミスをしてしまう。
連携の部分はすごく良くなってきたように見えるんです。決定的な場面が作れるということは、連携のレベルが上がってきていることの証明ですから。そう考えると、あれだけ決定的な場面を作れるのに決められないのは、フォワード(以後、FW)だけの責任ではないんですが、日本の選手が外国の攻撃的選手に頼りすぎているように映ったんですね。少し遠慮しているように映りました。
――2020年に監督に就任したアルベルト・プッチ・オルトネダがおこなったポゼッションサッカーの影響を引きずっているように見えますね。彼は2021年で辞めて2022年にFC東京の監督になるんですが、在籍した最後の年の成績は6位でフィニッシュ。その後の松橋力蔵さんも樹森大介さんも、もしかしたら今の入江徹監督もアルベルトのサッカーを継承するように、上から言われているのかもしれませんね。
新井 そのサッカーが悪いわけではないんですが、結果が出ていないことを考えると、攻め方とか守り方とかの時間帯での戦い方を考えてもいいように思います。
試合開始10分と終わりの10分をどうやって戦っていくのか。今までのやり方では、勝つのが難しいと感じます。鹿島戦を見ていてそうだったんですが、試合の入り方が、みんなダラッとしているような入り方だったんです。言葉を換えると、余裕を持ってボールをつなぐと言えばいいのか。
■「負け越しているのに最初から受け身」
新井 最初のファーストタッチとか、試合への入り方はとても大事なことなんです。
勝っているチームならば、受け身でスタートしても大丈夫なんですが、アルビはチームが負け越しているのに、最初から受け身で試合に入っているんです。
鹿島はフルプレス的に前からガンガンとプレスをかけ続けた。開始4分にゴールキーパー(以後、GK)からセンターバック(以後、CB)にボールを渡すところをインターセプトされて、ペナルティエリア中央に入ってきたFW鈴木優磨に先制点を挙げられたんです。その時間帯は、もっとはっきりしたプレーを選手に選択させるべきだったんじゃないかと思いました。
――じゃあ逆に、試合開始後すぐに新潟がハイプレスを仕掛けてボールを奪うサッカーをやったほうがいいということなんでしょうか?
新井 そうですね、じゃあ、なんで、鹿島は試合開始後すぐにハイプレスを仕掛けてきたのかと言えば、アルビはGKからパスを出してビルドアップするので、GKからDFへのパスを遮断してゴールを奪うチャンスがあると考えたからですよね。
アルビも同じようなことをやっていいし、やるべきだと思います。あのようなハイプレスは、試合の最後までもつとは思わなかったんですが、鹿島には相手を試合開始から圧倒してやろうという意気込みが見えました。
――試合開始から受け身のサッカーを新潟がしていて、そこで開始4分にミスから失点してしまう。これで、監督のこの試合のゲームプランが崩れてしまうことになる。ゲームを考える中で、最初から厳しい状況下に置かれてしまった。
新井 なんでもないパスからのミスによる失点だったんですが、アルビは同じやり方を貫いて試合終了までやっていました。連携も上がってきたので、同点に追いつくのは難しくないと考えたんじゃないですかね。実際、17分に鹿島のパスミスから同点に追いついているんです。そこから当初のプラン通りに、アルビは進めていけたと思います。
――では、浦和戦を見ながら分析していきましょう。