ダルビッシュは早くから“異変”を主張? ドジャース投手コーチ「ユウは気付いていた」 アストロズが3勝2敗とドジャースをリ…

ダルビッシュは早くから“異変”を主張? ドジャース投手コーチ「ユウは気付いていた」

 アストロズが3勝2敗とドジャースをリードし、球団初の世界一に王手をかけているMLBのワールドシリーズ。31日(日本時間1日)の第6戦で決着がつく可能性もあるが、米国内ではここにきて「滑るボール」疑惑が浮上し、大きな話題となっている。第5戦終了時点で、両軍はワールドシリーズ新となる計22本塁打を記録。投手が使用球のコントロールに苦しんでおり、口々にレギュラーシーズンのボールと比べて「滑る」と訴えているのだ。

 現場の声は切実だ。米誌「スポーツ・イラストレーテッド」は「ワールドシリーズの歴史的な本塁打率はおそらく、滑りやすいボールによるためだ」と特集を組み、選手やコーチの数々の証言を紹介した。

 この問題が表面化したのは、第2戦で6回2安打3失点と力投し、第6戦では2度目の先発マウンドに上がるアストロズのジャスティン・バーランダーの“告発”から。2011年のサイ・ヤング賞右腕は29日(同30日)の会見で、「最も不平なことは公式球がポストシーズンでも少し変わったことなんだと思う」と主張。「ポストシーズンのボールとワールドシリーズのボールも違う。少し滑るんだ。それに対応しなければいけない。でも、これは1人の投手が『おい、どこか変わったぞ』と、言っていることではないんだ」などと訴えていた。

 記事では「土曜日、ドジャースとアストロズの投手やコーチたちはワールドシリーズのボールについて不満を口にした。ワールドシリーズで使用されているボールは、レギュラーシーズンのものよりも滑るという」と指摘。ドジャースのリック・ハニカット投手コーチは、第3戦でスライダーを制球できずにKOされたダルビッシュから、早い段階でボールの“異変”を訴えられていたという。

「ユウは違いに気付いていた。ボールが滑りやすいと私に言った。彼はスライダーを投げるのに苦労していたよ。彼は同じようにスライダーを投げることができていなかった」

 同投手コーチはこのように証言。ダルビッシュも取材に対して「スライダーを投げるのに苦労しています。滑りやすいんです」と話したという。右腕はバーランダーの発言などを受けて、自身のツイッターでも「昨日ブルペンでワールドシリーズのボールを使って投げましたがやはりスライダーは難しいですね。。カーブはなんとかなりますが。ここにきてガラッと変わっちゃうとか本当にあり得ないです」と投稿していた。

ダルビッシュは「球界最高のスライダー」で空振り奪えず

 それを証明するデータとして、同誌は、ダルビッシュが第3戦でスライダーを14球投げながら、空振りをひとつも奪うことができなかったことに言及。「今年34試合に先発して、ダルビッシュがスライダーで空振りを奪えなかったことを初めて」だったという。さらに「ドジャース加入後、ダルビッシュのスライダーの被打率は.109である。球界最高のスライダーのひとつである」とも付け加えている。

 一方で、MLBのシニアバイスプレジデントのピーター・ウッドフォーク氏は、ワールドシリーズのボールは製造の段階でテストされており、これまでと同じ材料から作られていると明言。ワールドシリーズ使用球はレギュラーシーズンと同様の基準で作られており、「唯一の違いはボールにある金のスタンプだけです」と話したというのだ。レギュラーシーズンでは、青のインクでスタンプされている。

 ポストシーズンに入った時点で、すでにボールの違いを感じていた選手もいたようだが、メジャーの猛者たちはワールドシリーズに入って、さらに大きな違和感を感じているようだ。記事では、アストロズの右腕マッカラーズが目隠しして2つのボールを触り、違いを感じ、どちらかを言い当てることが出来たというエピソードも伝えている。

 バーランダーは、この特集の中でも、ボールへの強烈な違和感を訴えている。

「ワールドシリーズのボールは滑りやすい。間違いないよ。試合前に(ワールドシリーズのボールに)サインするんだけど、時々ボールに書けないことがある。スターバックスのレシートにサインする時、もし手で紙を抑えなかったらペンは紙の上を滑って書くことができないだろ? ボールにサインすると、こんな感じになることがあるんだ」

 投手受難のワールドシリーズはどんな結末を迎えるのだろうか。(Full-Count編集部)