シーズン終盤になり、規定打席到達の選手も増えてきました。現在のプロ野球はOPS(出塁率+長打率)が.700以上の選手は優…
シーズン終盤になり、規定打席到達の選手も増えてきました。現在のプロ野球はOPS(出塁率+長打率)が.700以上の選手は優秀だといわれています。もともと守備型の選手と言われながら、しっかりと結果を残しているのが巨人の泉口 友汰内野手(大阪桐蔭)ではないでしょうか。ここまで109試合で打率.291、5本塁打、29打点、OPS.732(リーグ8位)と、高い打撃成績を残しています。
高校時代の泉口選手は大学、社会人での活躍は想像できましたが、プロ主軸を打つほどの打撃力を持った選手ではありませんでした。
高校時代は守備職人でセンバツ優勝に貢献
当時の大阪桐蔭は泉口選手の1学年下に根尾 昂選手(中日)、藤原 恭大外野手(ロッテ)がいたこともあり、目立つのは根尾、藤原などクリーンナップや、エースピッチャーたち。泉口選手はショートストップとして出場しており、打順は8番ショートでした。
根尾選手と併用で出場していました。根尾選手は肩の強さ、フットワークなど身体能力の高さは際立っていましたが、技術的には粗さがありました。泉口選手は一歩目の反応、フットワーク、スローイング、バウンドに対する反応すべてに一級品で、センバツ優勝に貢献。SNS上では泉口選手の守備のうまさを称える声が多くありました。
また副将としても主将・福井 章吾捕手(慶応義塾大-トヨタ自動車)を支えました。
ただこの時点でプロにいく未来は見えませんでした。大学、社会人で長く続けるショートとして活躍するのではないかと見ていました。
高校卒業後、青山学院大に進学した泉口選手は最上級生では主将を任され、中心選手へ成長します。21年3月、大学4年生を迎える泉口選手の現在地を知るべく、青山学院大のグラウンドに足を運びました。高校時代はかなり細身の印象が強かったのですが、線が太くなり、一目でたくましくなった姿が見られました。
打撃練習を見ても長打性のある打球を飛ばし、一部でも3本塁打を記録し、青山学院大の主軸を打つまでに成長しました。
高校時代は単打中心の左打者でしたが、青山学院大では一発も打てる中距離打者というイメージに変わりました。泉口選手は打撃向上の秘訣について、
「自分は木製バットの方が合っていたのか。すぐに順応して打率も残せました」と明かすように、青山学院大時代は打率3割以上のシーズンを何度も続けました。
さらに自慢の守備の秘訣を聞くと、
「一步目を大事にしています。一歩目を切れば、ある程度、打球に入っていけます。打球が来て前にいくときに右足で間を作り、左足がつくときに捕球することを大事にしています。
送球がうまくなるにはステップをすることを大事にしていて、下半身で投げるイメージです。上半身だけで投げてしまうと送球が乱れてしまうので、下半身を使ってステップして投げると、上半身はそれほど力を入れずに投げることができます。ただスピードを意識しすぎて、基本動作が疎かになると元の子もないので、丁寧にやる中で基本動作を大事にすることが大事です」
スラスラと守備理論に答える姿を聞いて、試行錯誤しながら、たどり着いた技術ということに気づきました。彼の言葉を思い出しながら守備を見ると、粗さがなく、とにかく基本忠実ながらもスピード感のある選手でした。
攻守ともに成長しており、当時はプロ志望でありませんでしたが、社会人に進んでさらに成長すれば、プロに行ける選手になるかもしれないと感じました。

プロ2年目でショートのレギュラーに
NTT西日本に進むと、泉口選手はさらに守備、打撃を極め、3番ショートを打つまでに成長します。当時、巨人スカウトだった桜井俊貴氏(現・ミキハウス投手)の目に留まり、23年のドラフトでは、巨人から4位指名を受けます。当時、巨人にはルーキーからショートでスタメン出場が多かった門脇誠内野手(創価-創価大)もいました。同タイプのショートの獲得には、疑問の声がありました。
実際、泉口選手の1年目は門脇選手が高い守備力を発揮し、不動のショートのレギュラー。泉口選手は66試合出場にとどまりました。今シーズンは門脇選手が不調に陥った中、定位置を掴みました。好不調がある中でも徐々に持ち味を発揮した泉口選手は8月23日、DeNA戦で初のシーズン規定打席到達を達成しました。
30日の阪神戦まで、109試合、418打数122安打、5本塁打29打点、打率.291。セ・リーグの遊撃手で規定打席に到達しているのは泉口選手だけです。スイングも強くなり、長打を打てている打球も多くなりました。現在、ボールが飛びにくく、投手が高レベル化している中、この成績は立派です。
セ・リーグのベストナインに選出される可能性も高まってきています。
高校時代、下位打線を打つ選手でも、時間をかけて高い技術、フィジカルを強化していけば、プロで活躍できることを実証した泉口選手は大阪桐蔭の後輩たちにとっても良きお手本になったと思います。今シーズン、最終的にどんな成績を残すのか、とても楽しみです。