※本記事は、医師による執筆記事です。イライラ、気分の落ち込み、むくみや便秘などで困ってはいませんか?日常生活に支障が出る…

※本記事は、医師による執筆記事です。

イライラ、気分の落ち込み、むくみや便秘などで困ってはいませんか?日常生活に支障が出ることもよくあります。

夜更かしや日光に浴びていない生活が続いている方は、もしかすると、ホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。

その症状、月経前症候群(PMS)かもしれません。その症状は、低用量ピルの服用によって治療によって改善できる可能性があります。

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低用量ピルについて

低用量ピルには様々な種類がありますが、自分の症状によって服用すべきものは変わります。まずは、婦人科の医師に相談してみましょう。

低用量ピルは、中容量ピルより女性ホルモンの含有量が少ないピルの総称です。世界から40年遅れて1999年に日本で認可されました。現在の日本では、自由診療で処方される避妊用ピルと、月経困難症、月経不順、にきび、月経前症候群などの治療に用いられて、保険診療で処方される治療用ピルに分かれます。避妊用としてピルを使用する場合は、飲み忘れがない場合は、99.7%の避妊を達成できます。ちなみに閉経後のホルモン補充療法に用いられる女性ホルモン剤は、排卵を抑制する必要がないので、低用量ピルよりもさらにホルモン量が少なく、安全になります。

低用量ピルの分類

低用量ピルは、エストロゲンの量により、さらに低用量、超低用量に分類されます。また開発時期とプロゲステロン(黄体ホルモン)の種類で、4世代(4種類)に分けられますが、
新しい世代のほうが良いというわけではありません。ピルには相性があるとされています。

第1世代ピル
第1世代ピルには、シンフェーズ ・フリウェルLD ・ルナベル(LD/ULD)がありますが、ノルエチステロンを使用したピルで、生理の量が減り、生理痛緩和効果に優れたピルです。シンフェーズはサンデーピルと呼ばれ、1錠目を日曜日から内服開始し、消退出血(生理)が遊びの多い週末にかからないように工夫をされています。フリウェルLDとルナベルLDはまったく同じ成分のピルで、「月経困難症」の病名で、健康保険適応のできるピルです。超低用量ピルであるルナベルULDは現在日本で発売されているピルの中で最もエストロゲン総用量が少ないピルで、血栓症リスク軽減が期待されています。

第2世代ピル
第2世代ピルは、黄体ホルモンとしてレボノルゲストレルしているピル群です。
トリキュラーとラベルフィーユは3相性ピルと呼ばれ、女性の自然なホルモン動態に似せてホルモンの量を3段階に増減しています。この工夫により、1周期中のエストロゲン総用量が少なくなり、生理周期調節性と不正出血の率が低下を実現したピルです。 ジェミーナは生理痛改善目的で保険適応される一相性の超低用量ピルです。性的意欲の低下が少ないピルとされています。

第3世代ピル
第3世代ピルは、黄体ホルモンとしてデソゲストレルを使用しているピル群です。
マーベロン、ファボアール等がありますが、ニキビの改善に使用されています。
第4世代ピルは、ドロスピレノンを黄体ホルモンとして使用しているピル群です。
ヤーズは、月経困難症の保険適応が超低用量ピルですが、浮腫みにくいとされ、休薬期間が短くホルモンの変動が少ないため、休薬時の下腹部痛や頭痛などが少ないとされています。さらにヤーズフレックスは上記のヤーズの特長を持ちながら、ピルを約3か月連続的に内服することにより、月経回数が減るため月経時のトラブルがさらに低下します。

副作用について

ピルの副作用には不正出血がありますが、ホルモンバランスが安定する2シート目を内服する頃にはほとんどの出血は治まります。吐き気、浮腫などがある場合もあります。
重大な副作用としては血栓症がありますが、年間10,000人あたり3-9人でまれです。しかし片側性のふくらはぎや太ももが腫れ、強い痛みが出現した場合は、すぐにクリニックに連絡が必要です。40歳後半や、1日15本以上喫煙者の血栓症のリスクが高いとされています。

ピルを飲み忘れたら

ピルを 1錠の飲み忘れに気づいた場合は飲み忘れた錠剤を直ぐに内服し、残りの錠剤は予定通り内服します。
2錠以上飲み忘れた場合は、飲み忘れた錠剤のうち直近のものを直ぐに内服し、残りの錠剤は予定通り内服します。そして7日以上連続して服用するまで確実に避妊を行うか、性交渉を避けるようにしてください。

[文:フェムゾーンラボ]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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関口 由紀

神奈川県横浜市出身の医師。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本透析療法学会専門医、博士、経営学修士。女性医療クリニック・LUNAグループの理事長、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学客員教授を務める。