<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会: 立教大3-2福岡大>◇23日◇準決勝◇札幌市円山球場 大学…
<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会: 立教大3-2福岡大>◇23日◇準決勝◇札幌市円山球場
大学準硬式の日本一を決める文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)。23日の準決勝で立教大が福岡大を3対2 で下した。
6回まで2対2の同点。拮抗した試合展開の中、7回に立教大の3番・日野創太捕手(国学院栃木出身)の一打で勝ち越しに成功。そのまま逃げ切って、決勝進出を果たした。
「決めるのはここしかないと思っていたので、ヒットになった瞬間は嬉しかったです」と振り返った日野。今大会はなかなか3番としての仕事が出来ずに「迷惑をかけた」と結果を出せないことを気にしていたようだが、7回のチャンスの場面で気負うことはなかった。
それが出来たのは国学院栃木時代の教えがあったからだ。
国学院栃木時代、日野は3年生の夏に背番号17でベンチ入りして甲子園出場。智弁和歌山を倒すなどベスト16をベンチで経験した実力者。地元開催だった国体ではベンチ入りしなかったが、3年間は「良い意味で普通ではなかった」と前置きをしつつ、こんなエピソードを持ち出した。
「新しい価値観と言いますか、マインドを教わって良かったのですが、そのなかでも監督は宇宙の話が好きでした。その中で『星の数というのは地球上のものだと、石や砂の数より多い』という話をされていました。
伝えたかったのは、それくらい広い宇宙のなかの1つが地球で、その地球にある日本という国の栃木県のグラウンドで起こっている無死満塁とかは1つもピンチではないと。最初は分からないこともありましたが、おかげで試合の時に落ち着いてプレー出来ていると思います」
この話を聞いていたからこそ、日野は「凡退したらどうしようと思わなかった」と7回のチャンスで緊張することなく集中して打席に立って結果を出せた。ただ、どうして準硬式の世界に歩んだのか。
「チームメイトの小谷(竜樹)に誘われて、体験会に参加したことが始まりです。先輩たちの仲の良さや、前向きな声が飛び交うチームの雰囲気、さらに半日練習で集中して取り組む姿勢が、国学院栃木時代と似ている感覚がありました。当時の主将にも熱心に誘ってくれて『野球が好きなんだ』と心打たれたので、準硬式に進むことを決めました」
元々は立教大では野球をするつもりはなかったという。それでも小谷に誘われたことで準硬式に進んだわけだが、一番は3年生の夏に経験した甲子園が大きかったようだ。
「甲子園に立つと、球場のスケールの大きさはもちろん、1球ごとに球場全体が沸く感じがベンチにいてもあって、今の自分にとって大きな財産になりました。そして野球がもっと好きになった場所でした。だから野球をやろうという気持ちになって、準硬式に巡り合いました」
残すは決勝戦のみ。悲願の全国制覇が目の前まで、あとわずかとなった日野だが、こんな言葉を残した。
「自分の色を出せる。さらに野球を好きになれる舞台。それが準硬式の良さだと思います」
果たして優勝という結果で有終の美を飾れるか。決勝戦での活躍も楽しみにしたい。