<第107回全国高校野球選手権大会:沖縄尚学3-1日大三>◇23日◇決勝◇甲子園 初の夏甲子園を制した沖縄尚学(沖縄)の…
<第107回全国高校野球選手権大会:沖縄尚学3-1日大三>◇23日◇決勝◇甲子園
初の夏甲子園を制した沖縄尚学(沖縄)の比嘉公也監督が、甲子園のグラウンドでの「お立ち台」で優勝インタビューを受けていた。白髪交じりで、口元のひげもうっすらと見える。「年を取ったなあ」。思わずそう感じてしまった。26年前、背番号1をつけてセンバツで優勝した時の、キラキラと輝いていた表情を思い出してしまった。沖縄勢として初の全国制覇。その偉業を左腕エースとして達成した比嘉投手を取材したことも…。
忘れもしない。比嘉投手がセンバツ初戦で完封した。右打者の内角をズバズバとついて三振、凡打の山を築いた。前年の秋の九州大会でも取材していたが、「こんないい投手だったっけ?」 と成長ぶりには感心させられた。相手は比叡山(滋賀)。当時エースだった村西哲幸投手(元横浜=現DeNA)と投げ合って、スクイズで挙げた1点を守って1対0で勝利した。その後、チームは快進撃を続け、初の優勝へと駆け上がっていった。
気になって調べてみたが、比嘉監督として2008年のセンバツで優勝した時も、初戦は1対0の完封ゲームだった。ソフトバンクで活躍している東浜 巨投手が聖光学院(福島)を相手に、ボークで奪った1点を守り切って完封勝利を挙げている。今回も、初戦で金足農(秋田)に1対0で勝利。7回に挙げた1点を先発の末吉 良丞投手(2年)が3安打14奪三振の快投を演じて守り切った。
比嘉監督は優勝インタビューでこう言った。
「初戦の金足農戦、厳しかった試合を勝てたことで選手も自信がついた」
選手として、監督として、センバツで優勝した時の初戦と同じ完封発進。比嘉監督はこの夏、初戦を勝った時点で、優勝ロードを描いていたのかもしれない。インタビュー中、淡々と優勝を振り返る冷静沈着な44歳は、これから「大監督」としての道を歩むのかもしれない。
26年前、比嘉投手を取材していた私からすれば、こんな姿をみられるなんて、まったく想像していなかった。