9月に開催される第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ。出場する代表20名は4月に発表された高校日本代表候補や…

9月に開催される第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ。出場する代表20名は4月に発表された高校日本代表候補や夏の甲子園で活躍した選手を中心に構成される。昨夏はすべて甲子園出場選手で構成されており、世代NO.1の二刀流・柴田 獅子(福岡大大濠-日本ハム)らが選出外だった。今年もその流れとなるだろう。

 が、もしプロ志望を表明しており、なおかつスカウトから評価の高い“超高校級逸材”の中から20名を選ぶとどうなるのだろうか。

投手は世代を代表する超高校級10投手を選出

【投手】

石垣 元気(健大高崎)

森 陽樹(大阪桐蔭)

中野 大虎(大阪桐蔭)

鈴木 蓮吾(東海大甲府)

江藤 蓮(未来富山)

吉川 陽大(仙台育英)

奥村 頼人(横浜)

中西 浩平(豊川)

藤川 敦也(延岡学園)

早瀬 朔(神村学園)

 最速156キロを誇る石垣 元気(健大高崎)は今年の大学生投手と比較しても負けないパワーピッチャー。140キロ台前半のスプリット、カットボールで三振を量産し、ピンチでも粘り強い投球ができるようになった。高校ではクローザー役でのマウンドが多かったが、NPBの舞台でもクローザーが似合いそうな投手だ。

 森 陽樹(大阪桐蔭)はややフォームを崩してしまったが、150キロに迫る速球、130キロ台中盤のスライダー、フォークで三振を量産し、190センチの長身から繰り出すボールは独特の角度がある。プロで大化けする可能性を持っている。

 中野 大虎(大阪桐蔭)は伸びのある140キロ台後半、130キロ近いカットボール、フォークとどの球種も一級品で、制球力の高さ、クイックなど投球以外の技術も高い。

 鈴木 蓮吾(東海大甲府)は山梨大会初戦敗退となってしまったが、左オーバーハンドから繰り出す140キロ台後半の速球はプロ志望の左腕の中で最も勢いがあった。ハードな曲がりを見せるスライダーの切れ味も絶品である。

 江藤 蓮(未来富山)はこの夏の甲子園出場に貢献した本格派左腕。140キロ台中盤の速球、130キロ台前半のカットボール、120キロ台後半のチェンジアップで奪三振を重ねる投球が持ち味だ。

 吉川 陽大(仙台育英)は今年の高校生左腕で最も安定感のある投手。どの投手も試合によって打ち込まれる試合はあるが、吉川はどの試合でも試合を作り、調子が悪くても最低限の投球ができる。常時140キロ台前半の速球、130キロを超えるカットボールで三振を量産できる。

 奥村 頼人(横浜)は今年の高校生NO.1左腕に挙がる逸材。角度を生かした常時140キロ台中盤のストレートは、球速以上のものを感じさせる。鋭く曲がるチェンジアップのコンビネーションで三振を量産する。名門校のエースを守り続け、メンタルの強さも折り紙付き。打者としても本塁打を量産し、何でもできる選手だ。

 中西 浩平(豊川)は、戸郷翔征(巨人)のようなテークバックが大きいフォームから常時140キロ台後半の速球、鋭く落ちるスライダーで勝負する速球派右腕。150キロ以上の速球を投げる試合も度々あり、全国クラスの速球投手だ。

 藤川 敦也(延岡学園)はこの夏、最速151キロをマークした速球派右腕。球速だけではなく、球質も改善され、伸びのある速球で空振り三振を奪う場面もあった。フォーク、スライダーも器用に投げ分け、実戦力も大幅にレベルアップした。

 早瀬 朔(神村学園)は甲子園で148キロをマークした細身の速球派右腕。才木浩人投手(阪神)の須磨翔風時代を思い出させる投手で、大化けする予感がある。

野手陣はスラッガー揃いの顔ぶれに

【捕手】

大栄 利哉(学法石川)

松井 蓮太郎(豊橋中央)

 大栄 利哉(学法石川)は春先から高校生NO.1捕手と評価された強肩捕手で、木製バットでも鋭い打球を飛ばし、1.8秒台の強肩で走者を刺す。左打ちの高校生捕手が世代トップ級の扱いをされているのは、14年の栗原陵矢(春江工-ソフトバンク)以来。栗原はプロの世界出内野手に転向したが、大栄もプロの世界で活躍できる可能性を持った逸材だ。

 松井 蓮太郎(豊橋中央)は、愛知大会・甲子園で、31打数15安打、打率.483の活躍で、この夏、ドラフト候補に挙がる捕手では最も活躍を見せた。激戦区の愛知を勝ち抜いたリード、ストッピング、キャッチング、スローイング含めて安定していた。大栄に次ぐ高校生捕手に躍り出た。

【内野手】

今岡 拓夢(神村学園)

半田 南十(日大藤沢)

櫻井 ユウヤ(昌平)

藤井 健翔(浦和学院)

高田 庵冬(仙台育英)

 毎年、右の大型遊撃手の需要は高いが、今岡 拓夢(神村学園)はこの世代を代表する大型遊撃手。神村学園・小田大介監督が華のある動きを見せると評するように、大型ながら動きが滑らかで肩も強い。広角に長打が打てる打撃も持ち味だ。

 半田 南十(日大藤沢)は関東地区のドラフト候補に挙がる遊撃手では最も安定していた。ヒット性の打球を阻止する守備や、好投手を打ち崩す打撃も見応えがある。

 櫻井 ユウヤ(昌平)はこの夏、大当たりを見せた大型スラッガーで、ツボにハマった時の飛距離は絶大。ヒット性の打球も非常に速く、リチャード(巨人)のようなスラッガーに成長する可能性がある。

【外野手】

垣内 凌(浦和学院)

エミール・セラーノ・プレンサ(幸福の科学学園)

窪田 洋祐(札幌日大)

 垣内 凌(浦和学院)は春の関東大会でも織田 翔希(横浜)から本塁打を打ったように好投手からでも長打を打てる技術を持つ。浦和学院・森大監督も驚きの成長で、高卒プロ志望を決めた。弾道の高さと、ライトからの強肩が魅力。

 エミール・セラーノ・プレンサ(幸福の科学学園)は中日などで活躍したドミンゴ投手を父に持つ選手として注目されたが、この夏は打率.583、2本塁打、9打点の大活躍を見せた。軽く払ったようなスイングでも軽々とスタンドインさせるパワーは並外れている。またセンターからの強肩も光るものがあり、打撃、守備ともにパワフルだ。

 窪田 洋祐(札幌日大)は最速148キロ右腕として注目されているが、本塁打を量産する打撃、強肩を披露する外野守備も魅力。同世代の高校生投手と比較した時、投手としては一歩劣るところがあるので、類まれな身体能力の高さを活かして野手として育ててみたい選手だ。

 今回、取り上げられた選手たちはU−18代表に選ばれなくても、プロの世界でトップチームに選ばれるような選手に成長することを期待したい。