(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院) 相手捕手が飛球をつかむと、山梨学院の横山悠の…
(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院)
相手捕手が飛球をつかむと、山梨学院の横山悠の目にどっと涙があふれた。1点を追う九回、2死一塁で打席に立った4番打者は「絶対にまだ終わらせない」。初球を左前へはじき返し、逆転の走者として出塁した。が、次打者が打ち取られる。全力疾走から一転、三塁手前でしゃがみ込んだ。
絶好調だった。聖光学院(福島)との2回戦の第4打席で中前安打を放ってから、左翼席にアーチをかけた準々決勝の京都国際戦まで7打数連続安打をマーク。「やってきたことを出すだけ」と、迷いのないスイングが好結果を生んだ。
この日の第1打席は一回2死二塁の先制機で回ってきた。追い込まれながらも相手の好左腕・末吉良丞の直球を流し打って右前適時打。連続打数安打を大会タイ記録の8に伸ばした。
チームを初の4強に導き、100年を超える大会史に名を刻んだ。それでも首を横に振る。「ただただ、この仲間たちと日本一になりたかった」。マメだらけの手でほおを何度ぬぐっても、涙がこぼれ落ちた。(山口裕起)