センバツ切符をかけた秋季大会開幕を前に、広島県高野連が異例の声明を発表(C)Getty Images 広島県高校野球連盟…

センバツ切符をかけた秋季大会開幕を前に、広島県高野連が異例の声明を発表(C)Getty Images

 広島県高校野球連盟は8月19日、公式ホームページを更新。秋季高校野球広島県大会(同23日開幕)を前に、「令和7年度秋季広島県高等学校野球大会における誹謗中傷等への対応について」と題して、選手や審判、スタッフをはじめとする大会関係者に対する誹謗中傷や差別的な言動への考え方と対応方針を発表した。

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 広島県高野連は近年、SNSなどを通じて大会関係者に対する中傷が拡散する事例が確認されているとして、声明では「大会関係者の名誉や尊厳、人権を傷つけ、心身に深刻な影響を生じさせるものであり、決して看過できません」と強調した。

 さらには「誹謗中傷や差別的な言動などは、くれぐれも慎んでいただきますようお願い申し上げます。こうした行為があった場合、法的措置を含めて毅然とした対応をとってまいります」と明記し、厳格な姿勢を打ち出した。

 一方で、同連盟は学生野球の基本原理にも触れた。日本学生野球憲章が掲げる「必要な資質を備えた人間の育成」や「友情、連帯そしてフェアプレーの精神」を引用しつつ、「全国の高校球児たちが日々の鍛錬の成果を発揮し、スポーツマンシップに則って真剣勝負を繰り広げる、かけがえのない舞台です」と大会の価値を位置付けた。

 また、最後には「すべての人が安心して大会を楽しみ、互いに敬意をもちながら心から応援し続けられる環境づくりに、皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます」と呼びかけた。

 この表明の背景には、現在開催中の第107回全国高校野球選手権大会(甲子園)があるとみられる。広島代表の広陵は初戦に勝利したが、部内での暴力事案がSNSで拡散され、大会途中で出場を辞退する異例の事態となった。学校や選手に対する誹謗中傷が相次ぎ、関係者が大きな心理的負担を強いられたとされている。

 これらを踏まえ、広島県高野連が新シーズンの開幕を前に、毅然とした姿勢を見せたことで、選手やスタッフが競技に打ち込める環境を守る狙いが明確になった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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