(17日、第107回全国高校野球選手権3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英=延長11回タイブレーク) 甲子園に来てから、練習…

 (17日、第107回全国高校野球選手権3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英=延長11回タイブレーク)

 甲子園に来てから、練習のために訪れた関西のグラウンド。仙台育英の星よつは(2年)は、選手たちを横目に、スマートフォンで写真を撮った。思い出作りではない。写したのは球場全景、置いてある道具、トレーニング施設の内部……。どんな練習ができるかを考え、引き継ぎ書を作った。

 仙台育英で初めての女子部員。2年生で学生コーチ兼マネジャーを務める。高校時代に同じ経験がある須江航監督からは「怪物マネジャーになれ」と励まされた。抽選会で対戦相手が決まると、先輩とまとめたデータを、その夜に宿舎のホワイトボードに貼った。「勝つためにできることは何でもする」

 父は仙台育英出身で、読売ジャイアンツ(巨人)と埼玉西武ライオンズでプレーした捕手の星孝典さん(43)。現役時代のミットには、名前の由来の四つ葉のクローバーが刺繡(ししゅう)されていた。

 親子のキャッチボールは、背が伸びるにつれて投球練習になった。男の子と一緒のチームでプレーし、小学6年生のときはエースで主将。「大人数をまとめる1人はすごく大変」。同級生が作戦会議に乗ってくれると、前向きになれた。支えてくれる人のありがたみは知っている。

 「大好きな父と同じユニホームで甲子園に行くこと」が目標だった。仙台育英の系列中学に進み、データの分析の仕方を一から学んだ。東北学院大野球部の監督となった父は、心理学を学んでいた。新たな環境で努力する父の背中に、勇気をもらった。

 甲子園では、アルプス席から3試合を見守った。チームが勝つことが、何よりのやりがいだ。

 「来年は私たちが先輩の分も勝ちたい」

 ユニホームを泥だらけにした選手の姿を、涙をぬぐいながら目に焼きつけた。(平田瑛美)