<第107回全国高校野球選手権大会:横浜5-0津田学園>◇17日◇3回戦◇甲子園 津田学園(三重)の先発・桑山 晄太朗投…
<第107回全国高校野球選手権大会:横浜5-0津田学園>◇17日◇3回戦◇甲子園
津田学園(三重)の先発・桑山 晄太朗投手(3年)が甲子園マウンドを去った。9回最後の打者として左飛に倒れゲームセット。しかし、ヘルメットをかぶった表情には満足感が浮かんでいた。
センバツ優勝の横浜(神奈川)相手に8回5失点。自慢の直球も変化球も捉えられた。相手の打撃の方が上だった。3回、6回、8回と複数安打を許し、ことごとくチャンスをものにされた。ピンチも踏ん張れず、失点を重ねたが、最後まで自分の投球を貫いた。
「自分が落ち込んでしまったら、周りにも伝染してしまう。エースとして苦しい場面でも、常に笑顔は崩さないことを意識している。厳しい試合でしたけど、8回まで投げられたと思います」
投球フォームに特徴がある。テークバックで左腕をかかえるようにするため、打者から左腕の動きが見えづらい。球の出所が分からないため、打者からはタイミングが取りにくいという利点がある。加えて、肘が柔らかく、しなるような振りのため、球に切れを感じられた。上半身の強さがそれを支え、甲子園での好投にもつながった。
初戦は12回を投げきって完投勝利。スタミナがあるところも見せた。力感のないフォームも、スタミナの消耗を減らしているのかもしれない。チームを初のベスト8に導くことはできなかったが、エースとして堂々と「王者」に立ち向かった姿は、後輩に受け継がれることだろう。
「みんなのおかげで、1番を背負って投げることができた。感謝の気持ちでいっぱいです」
広陵(広島)の出場辞退により、巡ってきたベスト8への挑戦は夢と消えたが、津田学園の背番号1は、将来への手応えをしっかりつかんで、聖地を去る。