日本プロ野球の最高峰の戦いである日本シリーズが開幕する。パ・リーグを圧倒的な力で制し、クライマックスシリーズ(CS…
日本プロ野球の最高峰の戦いである日本シリーズが開幕する。パ・リーグを圧倒的な力で制し、クライマックスシリーズ(CS)でも底力を見せつけたソフトバンク。シーズン3位ながら、CSで阪神、広島を撃破し、19年ぶりの日本シリーズ進出を果たしたDeNA.。果たして、どんな戦いが繰り広げられるのだろうか。解説者3人に日本シリーズの行方を占ってもらった。

2年ぶりの日本一奪還に燃える、ソフトバンク・工藤公康監督
岩本勉氏(予想=ソフトバンク4勝1敗)
投打における選手層の厚さ、個人の能力を比較すると、ソフトバンクの方が一枚も二枚も上のような気がします。さらに、ケガで離脱していた柳田悠岐が復帰した。まさに「鬼に金棒」状態といえるでしょう。
ソフトバンクの強さは、どんな展開になっても勝ち切れるところ。楽天とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでも、連敗スタートしたにもかかわらず、そこから則本昂大、岸孝之、美馬学という楽天が誇る3本柱を攻略して勝つわけですから、チーム力は相当なものを感じます。
一方のDeNAは、シーズン3位からCSを勝ち上がった自信と勢いがあります。特に広島とのCSファイナルステージでは、ローテーション投手である今永昇太と濱口遥大をリリーフで起用するなど、短期決戦ならではの戦いを見せました。おそらく日本シリーズでもそういった”怖いもの知らずの戦い”で挑んでくると思います。そうした、ある意味セオリーを無視した戦いが、ソフトバンクに通用するのか注目ですね。
ポイントになるのは、”先取点”。両チームとも絶対的なクローザーがおり、細かな継投を得意としています。なので、試合終盤で得点するのは容易なことではありません。いかにして早い段階で得点し、自分たちの戦い方にもっていけるのか。そこが最大のカギになるような気がします。
それぞれのキーマンを挙げるとすれば、ソフトバンクは柳田悠岐、DeNAは筒香嘉智です。柳田はCSファイナルステージの最後に復帰できたことが大きかった。もし日本シリーズから復帰となっていれば、試合勘も戻っていないでしょうし、フワフワした気持ちのままプレーしていたかもしれません。それが1試合とはいえ、あの雰囲気のなかでプレーできたことは本人も安心したでしょうし、チームにとっても勢いが増した印象があります。
筒香に関しては、DeNAは彼のチームですので、彼が打てば勝つでしょうし、打てないと負ける。ソフトバンクにしてみれば、全打席で筒香を抑えるのは無理でしょうから、”ここぞ”という場面で打ち取れるかどうかだと思います。ただ、ソフトバンクに不安があるとすれば、左の先発投手がいないこと。序盤で筒香に打たれて、リードを許す展開になると苦しい戦いになると思います。いずれにしても、「ソフトバンク投手陣」対「筒香」の結果が、シリーズの行方を左右することになりそうですね。
西山秀二氏(予想=ソフトバンク4勝2敗)
勢いならDeNAにあるような気がしますが、ソフトバンクから4勝するのは厳しいと思います。広島とのCSではラミレス監督の采配が面白いようにはまりましたが、それがソフトバンクに通用するのかどうか……あのときは広島の状態が悪すぎましたからね。
今回の日本シリーズですが、私は両チームの”継投”に注目しています。ソフトバンクは絶対的クローザーのデニス・サファテを筆頭に、岩嵜翔、森唯斗、石川柊太、リバン・モイネロと層が厚い。DeNAにしてみれば、彼らにつながせないような試合展開にもっていけるかどうか。
DeNAも守護神に山﨑康晃がいて、スペンサー・パットン、三上朋也、須田幸太、砂田毅樹、エドウィン・エスコバーらが揃っており、こちらも細かい継投を得意としています。さらに広島とのCSでは先発投手をリリーフで起用するなど、シーズンにない継投も見せました。
ただ、継投というのは本当に難しい。タイミングが早くてもあとにシワ寄せがくるし、遅れると失点につながり、相手に流れを持っていかれてしまう。何より、ピッチャーの状態が全員いいとは限りません。試合展開、相手打者との相性、投手陣の調子など……とにかく短い時間で瞬時に決断しなくてはいけません。工藤監督とラミレス監督のベンチワークは要注目ですね。
ともに打線は破壊力があって、継投を得意としている。ある意味、似たもの同士のチームといえるかもしれません。どちらも持ち味を発揮すればがっぷり四つのいい戦いになると思いますが、経験力の差、そしてソフトバンクには昨年のペナントレースで11.5ゲーム差を逆転され、CSでも敗れた悔しさがあるはずです。勝利に対する執念の差という意味でも、ソフトバンクに分があるのかなと思いますね。
門倉健氏(予想=DeNA4勝3敗)
下馬評では、圧倒的にソフトバンクだと思いますが、DeNAのCSでの戦いぶりを見て、ラミレス監督の考えが選手たちにしっかり伝わっている印象を受けました。
広島とのCSでも、今永昇太や濱口遥大といった先発投手をリリーフで起用しましたが、ああいう作戦は思いつきではできません。まず、本人たちにしっかり説明して納得させ、そして準備させる。何より、ふたりの性格や適性も頭の中に入っていたのではないでしょうか。
ラミレス監督の引き出しの多さに驚きましたし、シーズン中にはなかったDeNAの”強さ”というのを感じました。とはいえ、ソフトバンクは勢いだけで勝てる相手ではないですし、しっかりと自分たちの野球をしないと勝負にならない可能性もあります。
では、DeNAが勝つにはどんな野球をすればいいのか。DeNA打線は主砲の筒香嘉智を筆頭に、打点王のホセ・ロペス、首位打者の宮﨑敏郎と中軸の破壊力は凄まじい。CSを勝ち上がれたのも、彼らがしっかり打って得点できたからです。当然、彼らが中心となって打ち勝つ野球に持ち込みたいと思うのですが、ソフトバンク投手陣を簡単に攻略できるとは思えません。むしろ、少ないチャンスを確実にものにして、逃げ切れるか。DeNAが勝つには、打線よりも投手力が重要になると思います。
ソフトバンク打線は楽天とのCSで塩見貴洋、辛島航に苦戦したように、左投手を苦手としています。DeNAには今永、石田健大、濱口と左投手が充実しています。その中でもキーマンに挙げたいのが今永です。
CSではリリーフで好投しましたが、先発では結果を残せなかった。今永自身「先発で勝って、初めて喜べる」と言っていましたが、彼をどう起用するのか注目です。先発として2試合登板させるのか、それとも1試合に先発してあとはリリーフ待機させるのか。”ジョーカー”としての役割が期待できる選手です。
いずれにしても、7戦までもつれるような気がします。ワンプレーで局面が変わってしまうような、スリリングな展開になるのではないでしょうか。ハイレベルな戦いに期待したいですね。