第107回全国高校野球選手権大会に青森代表として出場した弘前学院聖愛。12年ぶりの初戦突破はならなかったが、選手たちの…

 第107回全国高校野球選手権大会に青森代表として出場した弘前学院聖愛。12年ぶりの初戦突破はならなかったが、選手たちの成長を感じさせた、この夏だった。

 6月、原田一範監督に聞いた。「青森大会開幕まで、あと1カ月。この期間に選手は成長するのでしょうか」。原田監督の回答は明確だった。「全ての面において成長します。大会中だって、成長します」。選手たちに語りかける原田監督の言葉にはいつも「成長」の2文字があったように思う。

 事実、選手たちは4位に終わった春の県大会から、夏は見違えるようなチームになった。つながる打線、堅実な守備。成長があったからこそ、4年ぶりの甲子園にたどり着いた。

 甲子園での初戦の朝、原田監督は選手たちに呼びかけた。「何億円払っても、甲子園での経験はできない。だから楽しもう」、「甲子園の1試合は2カ月分の成長につながる」。大舞台の直前でも選手たちの成長に期待した。

 惜敗した西日本短大付(福岡)戦では、4盗塁を決めた。試合前日は、盗塁練習に特に時間を割いていた。取り組んだ練習の成果を大舞台で披露できたのも成長の証しだろう。

 一方で守備の失策や犠打のミスもあった。試合は100点満点の内容ではなかったし、敗戦は悔しかったはずだ。でも、多くの選手が「成長できた」と答えたのが印象的だった。泣いている選手が少なかったのは、その言葉が理由だったのだと思う。(小田邦彦)