第107回全国高校野球選手権大会で、昨夏王者の京都国際の初戦が、13日午前8時に予定されている。対戦相手は昨春の選抜大…
第107回全国高校野球選手権大会で、昨夏王者の京都国際の初戦が、13日午前8時に予定されている。対戦相手は昨春の選抜大会を制した健大高崎(群馬)。最速156キロ右腕・石垣元気さん(3年)、左腕の下重賢慎さん(3年)ら厚い投手陣に加え、打線は1番・石田雄星さん(2年)を軸に長打力と機動力を兼ね備える。
京都国際は5日の開会式後から京都市東山区の校内グラウンドで最終調整を続け、8日は内野手がバント処理や連係プレーを繰り返し確認。小牧憲継監督は健大高崎について、「昔ほど機動力に頼る印象はないが、打力が高く、打てなければ足も使ってくる」と警戒し、「ロースコアで少ないチャンスをものにしたい。競った展開で終盤勝負に持ちこみたい」と話す。
京都大会では6試合で失策2、犠打は20と堅実な試合運びが光った。本塁打は1本のみで、小技とつなぎの野球が得点源。小牧監督は「守備ができなければ点を取っても意味がない。限られた環境の中で、1年かけて守備を徹底してきた」と語る。
小牧監督が打線のキーマンに挙げるのが、4番の清水詩太(うた)さん(3年)だ。昨夏は三塁手として全国制覇を経験。新チーム発足時は主将を務めたが、昨秋の府大会で結果を残せず、主将を交代した。「悔しさはあったが、主将を外れて自分の練習や結果に集中できるようになった」。京都大会では準々決勝以降4番に座り、チーム唯一の本塁打を放った。高校卒業後はプロ入りを目指し「どんな形でも結果を残し、チームを勝たせたい」と最後の夏に臨む。
1番の長谷川颯さん(3年)は、昨夏5番打者として全国制覇に貢献。今夏の京都大会では打率5割超をマークし、攻撃の火付け役となった。健大高崎の青柳博文監督も「彼を塁に出すか出さないかが勝敗に大きく影響する」と警戒する。長谷川颯さんは「初回の流れをつくるのが大事。特に一打席目にこだわりたい」と話し、石垣元気さんについては「簡単には打たせてもらえない。工夫して突破口を開きたい」と意気込む。
京都大会でチーム最多の8打点を挙げた山口桜太(おうた)さん(3年)は、昨秋は4番を務めたが、11月の練習中に左手首を骨折し、今春の府大会を欠場。当初は夏の京都大会のベンチ入りも危ぶまれたが、最後の練習試合で結果を残し、はい上がってきた。「走者をかえすことだけを考えて、気持ちで負けず向かっていきたい」と力を込める。
健大高崎との対戦を誰よりも心待ちにしているのが、二塁手の尾角凌さん(3年)だ。健大高崎の加藤大成主将(3年)とは中学時代、同じチームでプレー。抽選会で対戦が決まった際は「やっと戦える時が来た」と喜び、その夜に「よろしく。負ける気はない」とメッセージを送ったという。「エラーの数が勝敗を分けると思う。どんな形であれ、アウトを取ることを意識したい」と気を引き締める。
投手陣の軸は、昨夏の優勝投手でエースの西村一毅さん(3年)。最速146キロの速球とチェンジアップが武器の左腕は、京都大会後は5日間ほど肩を休め、現在は甲子園でベストパフォーマンスを発揮できるよう調整を進めている。小牧監督も「京都大会よりもいい球がいくと思う」と期待を寄せる。
西村さんとともに投手陣を支えるのが、京都大会初戦で完投した酒谷佳紀さん(3年)だ。昨夏は右肩の肉離れで甲子園のベンチ入りを逃し、スタンドから全国制覇を見届けた。「同級生の西村が投げる姿を見て、負けられないと思った」と振り返る。父の敏さんは育英(兵庫)の投手として1993年夏の甲子園を制しており、親子二代での栄冠を目指す。
京都国際は、昨秋・今春の府大会ではともに16強止まりと苦しんだ。それでも夏はノーシードから勝ち上がり、2年連続4回目の頂点に立った。小牧監督は「能力では相手が上かもしれないが、練習量と粘り強さでは負けない」と胸を張る。「負けたら終わり。先のことは考えず、目の前の一戦に集中する」。京都勢初の夏連覇を懸け、挑戦者として再び聖地に臨む。(木子慎太郎)