来年2026年に北中米で行われるワールドカップ開催まで、すでに1年を切った。世界中のサッカーファンが楽しみにしている大…

 来年2026年に北中米で行われるワールドカップ開催まで、すでに1年を切った。世界中のサッカーファンが楽しみにしている大会だが、すでに問題点が浮上している。世界最高の大会にするために、クリアすべき「大問題」とは? サッカージャーナリスト大住良之が緊急提言!

■猛暑の8月に「新シーズン開幕」のJリーグ

「来年のJリーグはこんな時期に開幕するんだな…」

 40度を超す気温が連日続いた今年の8月上旬、そう思った人も多いのではないか。Jリーグは今季限りで1993年から続いてきた「単年制」を終了し、2026年に「秋春制」に移行する。来年の前半、ワールドカップ前までは「特別大会」を開催し、この猛暑の8月に「新シーズン」が開幕することになる。

 シーズン前のトレーニングは大変だが、もしかしたら冬季にキャンプを行うよりもケガのリスクは少ないかもしれない。そして「8月開幕」といっても、試合はすべて夜間のはずだから、「熱中症」の危険性もそう高くはないだろう。

 経費の問題から、夏季も午後の試合が入っていたJ3も、2022年以降は6月から9月中旬までの試合は原則として夜間になっている。Jリーグの「夏季開幕」は、暑さの影響という面では大きな無理はないと、私は考えている。

 問題はワールドカップだ。来年の2026年大会は、アメリカとメキシコ、カナダの「3か国共同開催(初)」で行われ、出場48チーム、総試合数104、大会期間39日間、決勝戦まで1チームが戦う場合の試合数8と、何から何まで「最大級」のワールドカップである。この大会の「リハーサル大会」として、今年の6月14日から7月13日までアメリカで行われたFIFAクラブ・ワールドカップでは、さまざまな問題が起きた。

■負担となった「足代」、危険だった「パイプ」

 アメリカでも、スタジアムは郊外にあることが多く、ふだん、国内のイベントでは多くの人が自家用車で訪れる。しかし、世界中からファンが来たクラブ・ワールドカップでは、ファンの「足」が問題になった。乗り合わせてタクシーでスタジアム向かうファンも多かったが、その料金は大きな負担となった。

 また、アメリカの他のプロスポーツのように、選手一人ひとりが名前を呼ばれて入場する方式も、チームそろって入場する方式も、「サッカーの伝統にそぐわない」と、多くのファンからブーイングが出た。

 ゴールが「埋め込み式」ではなく、「据え置き式」であることにも驚いた。しかもゴール内のプレーヤーが立ち入りそうなグラウンド上に強度を増すための太いパイプがあり非常に醜く、同時に危険だった。大会後半にはこのパイプと、そこから後ろの支えパイプは見えなくなったが、ただ濃いグリーンで塗装しただけというお粗末な対策だった。

■1994年の「コーナーが見えない」問題が再浮上

 1994年大会で問題になった「コーナーが見えない」ことも、今回のクラブ・ワールドカップで再度課題となった。アメリカンフットボールのピッチは、「エンドゾーン」を含めて縦が120ヤード(約109.7メートル)。十分サッカーに使える。しかし幅は53.33ヤード(約48.8メートル)と、サッカー(68メートル)と比較すると極端に狭い。

 アメリカンフットボールでは控え選手のいるゾーンを広くとってあるのでサッカーを同じ幅のピッチで行うわけではないが、68メートルに近い大きさにすると、観客席ギリギリになり、スタンドから同じサイドのコーナーが見えなくなってしまうスタジアムがあった。クラブ・ワールドカップの決勝が行われ、来年のワールドカップでも決勝会場となるニュージャージー州イーストラザフォードの「メットライフ・スタジアム」(2026年には「ニューヨーク・ニュージャージー・スタジアム」と呼ばれる)も、そうしたスタジアムのひとつだ。

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