第107回全国高校野球選手権大会に出場した旭川志峯(北北海道)は7日、1回戦で広陵(広島)と対戦した。試合が朝夕に分か…
第107回全国高校野球選手権大会に出場した旭川志峯(北北海道)は7日、1回戦で広陵(広島)と対戦した。試合が朝夕に分かれる2部制の第4試合で午後7時29分に試合開始。初回から照明がつくナイトゲームになった。先取点を奪ったが、その裏に追いつかれた。ジリジリと勝ち越し点、追加点を許し、1―3で敗れた。新校名での甲子園勝利は持ち越しになった。戦いを振りかえる。
■大渕投手、打たせて取って試合つくった
先発は背番号10の大渕蒼空投手(3年)だった。山本博幸監督は、「どんな相手でも崩れず、大舞台でも試合がつくれる」と送り出した。
持ち味の打たせて取る投球で、フライの山を築いた。「ナイターということもあり、マウンドからの眺めが良くて、気持ちよかった。しっかりコーナーに投げきることができた」。すっきりした表情で語った。
3年前の夏の甲子園。大渕投手は校名変更前の旭川大の捕手で出場した兄の路偉さん(現・北海学園大)をスタンドから応援した。強豪の大阪桐蔭に惜敗。大渕投手は「同じ高校で甲子園に立ちたい」「大阪桐蔭にリベンジしたい」との思いを強めた。
高校から投手に専念。昨秋はエースナンバーだったが、部員間の投票で、背番号1は最速143キロの河合悠希投手(3年)に渡ることに。大渕投手は、打たせて取る投球スタイルをめざした。冬場に1日150球ほど投げ込み、制球力を磨いた。
広陵戦は大渕、宝泉玄(3年)、河合の3投手が継投した。山本監督が「投手3人、それぞれ持ち味があって、それぞれ良い」と評価する投手陣は、甲子園まで勝ち抜いた原動力だった。
大渕投手は試合後、「(スタンドで観戦した)兄の前で勝ちたかったが……」と悔しさをのぞかせたが、3投手ともに強打の広陵打線を相手に大量失点を許さず、粘りを見せた。
■「握手を拒否するような選手はいない」
打線は広陵の好右腕・堀田昂佑投手(3年)に5番打者の石田健心選手(3年)が、三塁打を含む2安打1打点と気を吐いた。四回1死三塁では「追い込まれたら来ると思って狙っていた」という落ちる球を中前にはじき返し、先取点を奪った。
しかし、チームは堀田投手の変化球を低めに集める投球に苦しみ、六回以降は無安打に抑えられた。
守備では三回、外野からの返球が失策となり、同点に追いつかれた。ナイトゲームで普段の力を発揮する難しさをのぞかせた。
試合後、山本博幸監督は「甲子園で普通にやるのは難しい。広陵はできていた」と振り返る。
山本博幸監督は日ごろから選手たちを「気合と根性」という言葉で鼓舞する。この言葉には「常に落ち着いていられるか、大人でいられるか」という意味も込めている。
今大会では広陵の野球部内での暴力事案が、対戦直前に発覚した。旭川志峯のある選手は試合後、この件を問われると、「ちょっとは頭に入っていたけど、そんなのは考えないで試合だけに集中した。正々堂々と戦った」と述べていた。選手たちは雑音に動じることなく、冷静さを保っていた。グラウンド外の出来事だが特記したい。
また試合終了後、両校が整列してあいさつした場面について、SNS上では「(旭川志峯が)握手を拒否した」などと、裏付けのない見解が広がった。山本監督は「たまたま向かい合った相手と握手するような流れにならなかった選手が、少し早く列から離れただけ。普段の試合でもよくあること。握手を拒否するような選手はうちにはいない」と話した。(中沢滋人)